宮崎 では、枝野さんと小池都知事がくっつけば、強力ですかね。
舛添 小池なんか大悪党ですからね。自分の得になることしかやらないから、野党とは組みませんよ。それより、与党に党内野党さえいないことがネックなんです。絶対に王様の座から落ちることはない、っていうところが問題。そうやって政権中枢がおごってしまうから、モリカケみたいな問題が起こるんですよ。角栄や中曽根はそんなにおごることはなかった。それこそ野党以上に慎重に、自民党内で切磋琢磨してたから。チマチマした舞台装置を作ってごまかしてきた菅は、やっぱり責任が重いね。
宮崎 金融庁を使って飲食店に圧力をかけるっていう言葉こそ、まさにおごりの象徴ですよね。
舛添 あれはたまたま表に出ただけであって、ずっとそんなこと、やってますよ。コロナ対策で政権支持率を上げるために「全部の手を使って飲食店を潰せ!」と。だって、官邸官僚がそもそもアホなんだから。これをやったら菅総理が喜ぶ、そうなるとお酒を飲むヤツが減ってコロナも減る、いやぁ、宮崎局長よくやったな! ‥‥って褒められたら、キミはどんな気分?
宮崎 アハハハ。今考えると、アベノマスクなんてかわいいもんでしたね。
──政治への不信感は募るばかり。不祥事が続発した際の責任逃れ、はぐらかし答弁‥‥。菅政権はそれが常態化しています。
宮崎 実は僕、モリカケについては考えるものがありまして。というのは、(報告書で)黒塗りになっていた官僚と僕は昔からの知り合いで、今でも親交があるんですけど、彼曰く「佐川元財務局長は上しか見ない。下のことは踏みつけるヒラメ」だと。みんなもう怖くてしょうがなかったらしいです。あれは内閣人事局が力を持ちすぎた弊害です。
舛添 私が参議院自民党政審会長の頃、菅総理は総務大臣でした。官僚たちの縄張り意識が強くて、大変でしたよ。昨日まで銀行局にいた人が違う局へ異動になったら、その日から銀行局の悪口を言う。幹部官僚だけは国全体を俯瞰できる役人でないといけないのに結局、官邸の顔色ばかり窺うようになってましたから。まさに「省あって国なし」です。それが今も続いていると想像すると、恐ろしい。アメリカだってトランプからバイデンに変わる時、空気が変わったでしょう。キミの知り合いを痛めつけたヒラメの佐川も、きっとトップがいつでも変わってしまうと考えていたら、ヒラメになれなかったはずです。何が起こっても安倍政権が続く、と思ったから、安倍にごますりをした。
宮崎 水が澱んじゃったんですね。
舛添要一:国際政治学者。参院議員を2期務め、安倍・福田・麻生政権で厚労大臣。その後、東京都知事となり、16年に辞職。現在、舛添政治経済研究所所長
宮崎謙介:早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に国会議員に。16年に辞職し、現在は経営コンサルタントの他、テレビ番組のコメンテイターなどで活躍。「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)を刊行したばかり