ちょっとした非日常から何でもアリの完全倒錯まで。日本映画はアブノーマルプレイの宝庫である。その痴態場面の数だけ、女優たちは禁断の向こう側へと堕ちていったのだ。
一度その味を知ったら、もう引き返せない─アブノーマルな趣味の持ち主は、女性にそうささやくことが多い。寺島しのぶが「愛の流刑地」(07年、東宝)で演じた既婚者は、まさに引き返せなくなった典型例だ。
寺島はファンだった小説家の豊川悦司と一線を越えてしまう。何度も逢瀬を重ねるうちに「首絞めプレイ」にハマッていく。ある晩、また絶頂感を得たくなった寺島は「本当に好きなら、首を絞めて」と叫ぶ。女性が上になる形でつながったまま、豊川は下から両手で首を絞め上げた。髪を振り乱し、「アーッ」と叫ぶとガクガクと体をくねらせた寺島は悦楽の表情のまま、本当にあの世に逝ってしまったのだ。
「映画業界では、寺島のイキ顔は『演技ではなく本物だったのでは』と、いまだに語られるほど、迫真のプレイでした」(沖氏)
犯罪めいたアブノーマルシーンは他にもある。例えば、小島聖が体当たりの熱演を見せた映画「完全なる飼育」(99年、東京テアトル)もそのひとつ。竹中直人が演じる男に、女子高生の小島は誘拐されて部屋に閉じ込められる。が、極限の状態で小島は、竹中を愛してしまう。それからというもの、竹中に突かれるたびに「アウッ」と体を弾ませて喜ぶ異様さには度肝を抜かれた。
さらに風吹ジュンとなると、より犯罪性が高いアブノーマルプレイを演じている。映画「蘇える金狼」(79年、東映)で、巨大資本乗っ取りを企む松田優作にドラッグを仕込まれ、“情交漬け”にされてしまうのだ。
ベッドでの濃密プレイに留まらず、トイレの便座に座る松田にまたがり、対面で合体。その体勢は完全に「駅弁スタイル情交」である。ここで松田が立ち上がっていれば、かの村西とおる監督は「元祖」を名乗れなかったはず。ただ、風吹の反応はドラッグのせいで、並みの艶系ビデオを超えていた。朝方のバック突きで、風吹はシビれすぎて意識朦朧の中、妖しい恍惚の表情を浮かべる。
公開から10年後、本誌に風吹は、「演技というより、そのままの自分を出した」と語っている。
高島礼子が「さまよえる脳髄」(93年、ヒーロー)で見せたホテル窓際での立ち姿でのバック。この見せつけプレイの好事家は多い。
また、映画「愛の渦」(14年、クロックワークス)で門脇麦は、男女入り乱れるプレイを熱演。某サイトの調査では20代男性の15%強が3P以上の性的行為の経験者というから、日常の延長になりつつあるのが現状なのか。
芸能評論家の沖直人氏によると、ともにフル脱ぎで「未知の快楽に襲われる姿」はアブノーマルそのものだとのことだ。高島は「誰かに見られているかもしれない、興奮するわ」と、窓際からベッドに移ると、男の下になっている最中に、「足の親指を引きつらせてイキ果てます」という。また門脇も男の上になる形ででつながって、「激しいアエギ声で悶えまくる」(沖氏)という。下腹部から全身へと快感が伝わる様子を見て「興奮しない男はいませんよ」(沖氏)とのことである。
元AKB48の篠田麻里子も、男たちを興奮の坩堝へと押しやった。
それは映画「ビジランテ」(17年、東京テアトル)で「車内情交」を披露した時のことだ。人けのない高速道路沿いの山林に停まる1台の車。ユッサユッサと揺れる車体を捉えたカメラはゆっくりと車中へ。まさに助手席の篠田の上で夫役の鈴木浩介が上になる形でピストン中。激しくなる腰の動きに、篠田のアエギ声は大きくなる。胸元をはだけさせ、赤の胸用肌着の紐がかかる鎖骨付近がピクつき始める。すると、感極まって「中に出して」と叫んでイッてしまったのだ。
「情事中、篠田は男の下に組み敷かれるが、事後に下腹部から漏れ出そうになる白濁液を鈴木にティッシュで拭かせるあたりは『上からマリコ』の面目躍如です」(芸能ライター)
元国民的アイドルグループのメンバーが車中で生で出される艶技を見るにつけ、アブノーマルと正常の境界はますます曖昧になっているようだ。