昨年相次いだネットを舞台にした凶悪事件。中でも三鷹女子高生殺人事件では、別れた恋人や配偶者のヌード写真や動画を故意にネット上に流出させるという復讐方法がクローズアップされた。
スマートフォンの普及により、老若男女問わず、誰でも気軽にネットを閲覧できるようになったことで、「事件はさらに凄惨さを増す」と分析するのは、自殺・自傷・依存など若者の生きづらさをテーマに取材する渋井哲也氏だ。
「昨年11月に、滋賀で14歳の少女がネットで予告したうえで生中継しながら13階から飛び降り自殺をした事件が記憶に新しいですが、今年は犯罪者自身が事件を生放送する事態が予測されます。動画を録画するひと手間を省き、リアルタイムで事件を中継するのです。ネット閲覧者が警察に通報しても間に合わないでしょう。『殺人なう』なんて言葉が生まれるかもしれません」
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、少年少女のみならず熟年世代が被害にあうケースが増えると断言。「今年は50代以上の中高年がネット犯罪のターゲットにされます」と、警鐘を鳴らす。
「ガラケーからスマホに機種変更をしてネットの世界にどっぷりとハマッている中高年は、いわばネット初心者。00年代初頭からネット犯罪の手口はさほど変化していませんが、初心者であることと、人生経験を積んだ自信による油断で、昔ながらの手口に引っ掛かるのです。アダルトサイトに仕込まれたフィッシング(詐欺)サイトにアクセスして、クレジットカードの会員番号や銀行口座のパスワードを入力してしまうことが代表例です」
前出・渋井氏は、中高年を狙った恋愛絡みの詐欺の増加に危機感を募らす。
「55歳の女性が出会い系サイトで女子大生に成り済まし、3年半で600万円をだまし取る詐欺事件が起こりましたが、これもネット初心者がだまされやすい手口。実際に会ったこともない相手に口説かれても貢がないという、基本ルールを徹底してください」
他にも対策はある。
「新品のスマホに、ウイルス対策ソフトは装備されていません。5000円程度で入手できますが、詐欺による“勉強料”よりは断然安い。身を守るための投資と考えて、購入することをオススメします」(前出・井上氏)
スマホデビューしたオヤジたちには耳が痛い話ではないか。