国家の元首や主導者が、その国に生命をささげた方に謝礼の気持ちを伝えるのはどこの国でもやっていることです。アメリカであればアーリントン墓地がそうですし、それぞれの国にあります。それを問題視すること自体が問題だと思います。
韓国は当初、位牌を返せと主張していました。戦争中は日本人だった韓国の人が祀られていますので位牌を返せ、分離しろと。しかし靖国神社に位牌なんてないわけですよ。
また分祀といいますが魂は物質ではありません。御霊は祀ることはできても、分離することはできません。水の中に同じ水を入れて、あとから追加した水を抜けということと同じですから。
返せ、分けろと言うこと自体が間違いであって、その程度の低い認識レベルしかないわけです。
世界中から非難を受けているといいますが、靖国の英霊はA級戦犯も含めて昭和戦没者として、バチカンにも祀られています。ヨハネ・パウロ二世の時に祀られたのですが、カソリックの影響下にある国や人たちは文句を言える立場にはないのです。批判する当事者たちはバチカンにも文句を言うべきでしょう。
参拝そのものに文句を言っているのは中国・韓国なのですが、その理由はA級戦犯が祀られていることです。しかし、A級戦犯の意味を考えるとそれも疑問符になります。
ABC級とはA項・B項という戦争犯罪の種類なのです。A項は戦争主導者と呼ばれる立場の人たちなのですが、当時の戦争法上彼らは罪ではなく、敗戦の将として裁かれました。逆に言うとB項「通例の戦争犯罪」や、C項「人道に対する罪」、つまり無実の民間人を殺したほうが罪だと言えるでしょう。アメリカによる東京大空襲などの空爆は民間人を大量に殺しているのでこちらのほうが戦争法上、罪になります。
「失望」を表明したアメリカは、国防省と国務省の間で常に綱引きをしています。国防省側では今回のことを問題視していませんが、国務省は親中派の方々が多く、ビジネスの問題もあり、中国側の意見が表に出ているということです。アメリカも一枚岩ではないので、日本から見ると意見がブレているように見えるのです。
つまり、この問題を問題とするほうが問題なのです。
唯一、問題があるとすれば、靖国神社が宗教法人であることです。政教分離の問題などがあり、宗教によっては参拝に行けないという問題も発生します。新たに施設を作らなくても、今の靖国神社に法人格を作り、国の施設にすれば何の問題もなくなるのです。