テリー 昨年9月、息子さんが窃盗未遂容疑(のちに不起訴)で逮捕された、あの騒動の時は、どんな気持ちでした?
みの 正直言って、何を言ってもしかたがないなと思いました。「悪口を書いたほうがおもしろいんだから」って、ある方も言ってましたけど。
テリー 普通の家庭で息子が不祥事を起こした時に、親が会社を辞めるかっていったら、辞めないですよね。そんなことで辞めたら食っていけなくなるから。
みの いちばん最初に僕が「確かに親としての責任はあるけど、30過ぎの男で、家庭を持ってて、社会人で、別人格だから」と言ったら、一気にそこを叩かれましたね。
テリー おかしいね。
みの 同じような事件が起きても、お母さんが女優を辞めるとか、お父さんが役者を辞めるとか、そういうことはなかった。あるいは国会議員が議員を辞職したとか、新聞社の社長が辞めたとかもない。
テリー そうですよね。
みの ただ、「『みのを降ろせ』という電話の数が大変です」という話を聞いて、あまり騒がれすぎるので、いったん引いたほうがいいのかなと思いました。同時に、どこかで親子の関係について「別人格とはどういうことなのか」と議論になってくれるかもと思った。でも、どこもやらなかったですね。それは残念だった。
テリー 魔女狩りみたいだと僕は思ってます。
みの まあ、そうかもしれないですね。
テリー セクハラの話もありましたね。
みの 週刊誌は悪く取れるところを一生懸命引っ張り出そうとしてましたね。ワイドショーのレポートをなさる方たちもね。昔から「出る杭は打たれる」というのがありますけど、ある方が「キミはモグラなんだよ」って言うんです。「モグラって何ですか?」って言ったら、「どこから顔を出しても叩かれるんだ」って。
テリー ああ、モグラ叩きのモグラ。
みの そう。「ああ、俺はモグラ叩きのモグラで、皆さんにとってゲームの対象なのかな」と思って。
テリー 僕はテレビで「息子はテレビで会見しろ」って言ったことがあるんです。素人だったらともかく、テレビの仕事に携わってるんだし、ホントのことを言って自分が矢面に立つべきだって。息子さんとお会いしたことはないんですけど、よっぽど息子のところに行ってやろうかなと思ったんです。だから、釈放されて最初に家に来た時、ブン殴ってもよかったんじゃないですか。
みの そんな気持ちは確かにありましたね。小さい頃はどっちかって言ったら殴って育てたほうだから。テリーさんのおっしゃるとおり、自分で解決しろよという気持ちもあったけど、ワイドショー、週刊誌のほうに気を取られて、外出することもできない。あげくの果てに、自宅を空撮する週刊誌まで出てきましたから。
テリー 番組をお休みされた今も、毎朝3時に起きちゃいますか。
みの 5時ぐらいに起きます。だから、5時半からの番組をイヤでも見ますよ。
テリー やっぱり「朝ズバッ!」?
みの 「朝ズバッ!」。それから日本テレビとかテレ朝とかフジテレビとか。
テリー 自分の出てない番組はどうですか。
みの もの足りないですね。
テリー 寂しい?
みの 寂しいって言うより、「もっと言え」とかね。
テリー そうなんですよ。
みの 僕もテリーさんみたいに理論武装をもっとして、もっとしゃべりたかったなと思ったりするし。
テリー 僕は理論武装は、まったくないですよ。
みの いや、的確ですよ。コメントに納得します。だから「朝ズバッ!」もそうなってほしいと思うし、羽鳥(慎一)君にしても、夜の古舘(伊知郎)君にしても、もっとバンバンやれって、けしかけたいほうですよ。
テリー みのさんは毒気もあるじゃないですか。
みの あると思いますね。
テリー そういう人がいないと、世の中つまんないと思う。
みの 「東京電力や国会議員から圧力がかかったんじゃないですか?」と言われるけど、何にもないです。僕が降りたことに、一切そういう圧力はない。
テリー 今、時間があって、いろいろ考えるようになって、世界観って何か変わりましたか。
みの 1つだけ反省したことがあります。
テリー 何でしょう?
みの 番組で新聞をいつも利用させていただいてたんですよ。「朝ズバッ!」も「サタずば」も。僕はパッパッと各紙の見出しを見て、優先順位を変えたりして、言いたいことを言ってた。だけど、朝刊を読むのに1時間はかかりますね。4紙読むと4時間かかる。
テリー ああ、なるほど。
みの 見出しだけポンポンと見て、わかったような振りをしてましたが、違うんだなぁと。活字の世界はすごいものを持っているなというのは、今になってあらためて感じています。