兄貴分に負けず、男気あふれる決断力で幸運を呼び込んでいるのが番長・三浦大輔だ。専門紙記者が話す。
「義理堅い男ですよね。昔からの知り合いという理由で、松岡騎手をリーゼントロックの主戦に起用し、彼が黒竹賞に乗れないとなれば、調教に乗っている中谷騎手を代打指名。競馬関係者から『(昨年4勝の)中谷ですか?』と、心配されても、堂々と中谷を見守る姿に、サークル内での番長株が一気に上がりました」
義理と誠実さ、これが馬主を長く続ける秘訣の一つだと、コパ氏も言う。
「馬主席で一緒になる北島三郎さん(77)や三浦さんを見ていても、義理を欠いたら馬主はできないだろうなとつくづく思いますよ。レースで勝った馬主さんに対して、きちんと立ち止まって挨拶されますからね」
勝利した側の礼も問われるのが馬主の世界。コイウタでGIを制した前川清(65)は1着数万円という記念ジャンパーを100着以上、厩舎関係者に配ったという。
「私も昨年、コパノリチャードがアーリントンCを勝ったあと、ブルゾンを500着ほど作りました。スワンSのあとは18金のペンダントを100個。つい、うれしくなって賞金額なんて忘れちゃってね。でも、そのデザインを考えるのも、馬主の楽しみの一つなんですよ」(前出・コパ氏)
勝っても大盤ぶるまいでは、収支のほうが心配だ。
「セリ取引額が300万円ほどのラブミーチャンが地方競馬を中心に活躍してくれたけど、それまでに100頭は買ってますからね。ざっくりとですが、これまでに引退した約150頭にかかった費用と税金を引いたあとの賞金額から計算すると、1頭当たり100万円、合計で1億5000万円くらいの損益です」
大損していても「それ以上の喜びをもらった」とほほえむコパ氏に、馬券の収支を聞いてみた。
「馬主になって馬券は下手になりました。だって自分の馬に加えて“浮世の義理馬券”も買うんですよ。義理だけは欠かせませんからね(苦笑)」
有名人馬主は総じて馬券ベタのようだ。テレビ局スタッフが話す。
「一番の馬券好きは草野仁さん(69)でしょう。東京開催なら、毎回、馬主席にいますよ。ブエナビスタの一口馬主だっただけに、競馬貯金は潤沢。毎週の軍資金が帯封1本というだけに買いっぷりは豪快です。勝負レースの時は、目立たない場所に移動して大声を張り上げてますよ。『何やってんだ~』と騎手名まで叫ぶこともあります(笑)」
本命党の和田アキ子(63)は、ここ数年、馬券でかなりヘコんでいたという。前出のスタッフが続ける。
「日曜は『アッコにおまかせ!』のために午前10時に局入りすると、指南役の勝俣州和を呼んで検討会をするんですが、ほぼ“武豊馬券”です。昨年こそ武豊騎手が活躍しましたが、それまでの3年ぐらいは機嫌が悪かったですね(笑)」
一見、華やかに見える世界だが、志村けん(63)は9頭所有していて、未勝利。ただ、同じ未勝利でも新庄剛志(41)のタノシンジョイのように地方(獲得賞金707万円)へ活路を求める手段もある。高額馬が必ず勝つわけでもなく、舞台を替えて活躍する馬もいる。それもまた、馬主のロマンでもあるのだろう。