巨人番記者が語る。
「原監督が結果を出しているので、このまま長期政権となっていく可能性はあります。一方で、フロントは新聞の部数増のために現在、人気の劇的回復を目指しているんです。そうなると、改革のための次期監督候補の中でも、松井という大スターの名前が誰よりも優先されるのは当然で、現場の混乱もおかまいなしに『まずは原監督の下で松井ヘッドコーチ』といった具体案まで飛び出しました」
もちろん、メジャーでも多くの経験を積んだ松井臨時コーチの指導は、チームにプラスとなる面はあるはず。だが、心配されているのがフロントの暴走だ。
2月11、13日には松井氏と長嶋氏の2人がグラウンドにそろい、いわば“御前試合”が行われる。そして、なんとこの日までにベテランも含め、全選手がコンディションを仕上げてくるよう、異例の指示が出されているというのだ。
「例年であれば3月中旬のオープン戦、東京ドームの開幕戦でレギュラー陣勢ぞろいという調整です。例えば、今年はFA移籍してきた大竹に川口投手コーチは、1年目だけにマイペース調整を伝えていますが、その約束もホゴにされる。“松井監督実現”という目標に向かう一大イベントを盛り上げるため、まるでケガ人を出すこともいとわずに早く仕上げることを求められる選手の間からは、『全員がWBCだよ』という声まで出ています。原監督もたまったものではないでしょう」(球界関係者)
まさかチームを強化するはずが、かえってマイナスとなる。これでは、ますます松井氏の本意ではない方向へと向かってしまうではないか。そもそも松井氏は、先のように宮崎での臨時コーチ就任には乗り気ではなかったという。
「松井は02年オフにFAで巨人を出る際に、当時の球団幹部に『誰のおかげで、ここまで来れたと思ってるんだっ!』と吐き捨てられましたからね。結局、尊敬する恩師・長嶋氏の名前を出されるとムゲにはできませんから、“臨時”という形であったから協力したのでしょう」(スポーツ紙デスク)
そして放っておかないのが、海の向こうからラブコールを送るヤ軍である。
「ヤ軍は現在、ジラルディ監督と17年シーズンまでの4年契約を結んでいますが、次期監督候補には、松井が気がねなく話し合える盟友・ジーター(39)が取りざたされている。その際は、松井の打撃コーチとしての入閣も期待されていますね」(メジャー担当記者)
いずれにせよ、引退してもなお、日米で海を隔てて争奪戦を起こす松井氏の実力に脱帽である。