まだ寒さが残る2月の最終週。それでも中山開催に移ると、「春が来たな」と浮き足立ってくる。3歳馬にとってはクラシックが近く、古馬も同じく重要なGI戦線が迫ってきている。
その2回中山競馬の開幕週を飾るのが中山記念。4月の第1週に行われる大阪杯の、いわば前哨戦だ。
今年で第96回目を迎える伝統ある戦いで、17年から大阪杯がGIに昇格したことで、より重みが増す重賞になったと言っていい。今年も役者ぞろいで顔ぶれは多士済々である。
主役とみられるのは、GIホープフルSの覇者ダノンザキッドだが、マイルCS3着以来、3カ月ぶりの実戦。しかも3歳時の昨年は【3】【15】【4】【3】着と期待に反することが多かっただけに、はたして本来の走りをみせてくれるか、どうか。不安もなくはなく、全幅の信頼は置きにくい。
過去のデータからはどうだろう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単での万馬券は3回(馬連は1回)。この間、1番人気馬は7勝(2着1回)、2番人気馬は4勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみ。比較的人気サイドが連絡みしているものの、伏兵陣も頑張っており、中穴傾向のGII戦とみてよさそうだ。
年齢的にはどうだろう。出走頭数が多いだけに、4歳馬(7勝、2着5回)と5歳馬(5勝、2着6回)がよく連対をはたしている。とはいえ、6歳馬が3勝(2着7回)、7歳馬と8歳馬がそれぞれ2勝と、古豪が地力にモノを言わすことも少なくなく、実績のある調子のいい馬は、軽視禁物ということだ。
今年は傑出馬不在とみて、穴党として思い切った狙いで勝負したい。最も期待を寄せたいのは、牝馬のフェアリーポルカである。
過去19年間、牝馬で勝利を収めたのはヌーヴォレコルト(15年)1頭で、2着はラッキーライラック(19年、20年)とアエロリット(18年)の2頭のみ。このように牝馬はGIで勝ち負けできる実力派でないと、ここでは通用していないのだが、牡馬陣に頼れる存在が見当たらない今年は、出番は十分あるとニラんだ。
3歳時に出走したオークス16着、秋華賞16着とGIでの実績はないが、重賞は中山牝馬Sと福島牝馬S(ともに芝1800メートル)を制しており、力は確か。しかも中山コースは〈1 1 2 1〉と得意にしていて、距離の1800メートルもピッタリだ。走れる条件がそろっているのであれば、狙わない手はない。
近親にトゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯)がいて、曾祖母ドリームディールは北米のGI勝ち馬。一族にはクリアマンデート(スピンスターSなどGI3勝)のほか、活躍馬が数多くいる血統馬。ここでも何ら見劣ることはない。
前走ターコイズS(4着)のあと、ひと息入ったが、短期放牧を挟んで調整は抜かりなく、1週前の追い切りも実によかった。良馬場条件に大きく狙いたい。
一方、阪神の阪急杯は、GI高松宮記念の前哨戦。本番よりも1ハロン長い芝の7ハロン戦で行われるだけに、距離適性がポイントになる。
こちらも混戦模様だが、狙ってみたいのは、ミッキーブリランテだ。
前走はダートのカペラSに挑戦して16着と大敗を喫したが、まずは参考外。その後は放牧を挟んで乗り込み量も豊富。稽古の動きも素軽く、重め感はない。
阪神コースで2勝をあげているように相性はよく、距離の1400メートルも〈1 1 1 3〉と得意とするところ。巻き返し十分とみた。