スポーツ

「浅田真央VSキム・ヨナ」死闘10年の“裏”真実(10)

20140227h

 母の死と大スランプに、浅田の心身は悲鳴を上げた。人生初の長期休養から再起へ向けスケートを基礎から見直す練習を繰り返した。そして“新3A”が完成し、まなざしはソチへと向かう。誰も成しえなかった大技を目標にラスト・ダンスが間もなく始まる。

 最愛の母・匡子さんの死去から4カ月後に、フランスのニースで開かれた世界選手権に出場した浅田真央(23)。しかし、表彰台に彼女の姿はなかった。

「どうして調子が上がってこないんだろう」

 代名詞のトリプルアクセル(3A)が不発に終わるばかりか、10-11シーズンのワースト得点に自失し、茫然とするばかりだった。現地入りしていたスポーツ紙記者が振り返る。

「母親を亡くして2週間後の全日本選手権で優勝した時に見せたメンタリティの強さは、微塵も感じられませんでした」

 その全日本前には、

「(お母さんのためにも)世界選手権の切符を取りたい」

 と話していた浅田だが、世界選手権では練習と本番で、3Aに56回も挑戦して成功なしという状態に自問自答を繰り返すばかりだった。

「何でだろう?」

 帰国した浅田は燃え尽き症候群のようになり、姉の舞に、こう漏らしていた。

「スケート、やめたい」

 浅田は生まれて初めて、スケートリンクに行くことさえも苦痛に感じていたという。前出・記者が語る。

「昔から母の匡子さんは姉妹に『イヤだったらいつでも(スケートを)やめていいのよ』と優しく声をかけていたそうです。姉の舞さんは、気持ちの折れかかった妹を気遣い、積極的にリフレッシュにつきあっていましたね。佐藤信夫コーチも『しばらく休みなさい』と、言葉をかけていました。2人は父の敏治さんが無農薬野菜に関心を持っていたこともあり、山梨の農園に行ったり、乗馬を楽しんだりと、フィギュアを忘れて過ごしていました」

 浅田が目標を見失うほどの深刻な状況に直面していたことには間違いなかった。母・匡子さんは、この1年前の春、浅田が心身ともにすでに限界に来ていることを、こう明かしていていた。

「15歳から世界で戦い続け、体も心も金属疲労のような状態で、どこかでケアする時間が必要かもしれない」

 ライバルのキム・ヨナ(23)は11-12シーズンを休養に充てているのだが、全国紙運動部デスクが話す。

「金メダルを手にしたキム・ヨナは、『母国・平昌〈ピョンチャン〉の冬季五輪招致の大使として活動する(18年開催で決定)』という大義名分もあり、休養宣言がしやすかった。ここで、浅田が休むとなれば大会の集客力などが落ち、大きなマイナスです。スケート連盟やテレビ局、スポンサーなど、できれば出場してほしいという“大人の事情”も見え隠れした。さらに休んだとしても、浅田は母の看護に付き添い、心の負担がより大きくなる。匡子さんは、それを恐れ、『今までどおりの生活をして』と娘に告げていたそうです」

 母の死と燃え尽き症候群──浅田は休息が必須となるまで追い込まれていたのだった。

◆アサヒ芸能2/18発売(2/27号)より

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
巨人・坂本勇人「2億4000万円申告漏れ」発覚で「もう代役・中山礼都の成長に期待するしかない」
2
青柳晃洋「マイナー登板でも大乱調」の暗闇…また「有原式」「上沢式」が発動されるのか
3
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
4
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」
5
フジテレビ衝撃の報告書に登場する「タレントU」は「引退」を口にした!当てはまる人物は…