米国のバイデン大統領が先ごろ、ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領について「追放を模索しない」と明言。ただ、その裏にはある“思惑”があるという。
バイデン氏は5月31日付けの「ニューヨーク・タイムズ」(電子版)に寄稿。「北大西洋条約機構(NATO)とロシアの直接衝突や、ロシアの政権交代などは望まない」との考えを明らかにした。今年3月にプーチン氏について「権力の座にとどまってはならない」とした発言からは、ずいぶんとトーンダウンしたように見える。
「アメリカにしてみればこのまま経済制裁を続け、ロシアが勝手に弱体化し自滅すれば万々歳でしょう。停戦後に戦争責任を追及しつつ、さらなる制裁で締め上げればいいだけですからね。一見、弱腰に見えますが、その裏では時期的なものも含めかなり計算していると思われます。ただし一方、ロシアの内外でプーチン暗殺に向けての動きもある。そうした中でプーチン氏が自暴自棄な行動に走る情報が出れば、『追放を模索しない』とのバイデン氏の発言も、即撤回されることが十分に考えられます」(政治ジャーナリスト)
一方のプーチン氏は、トルコ訪問に向けて準備していることが判明。実現すれば2月のウクライナ侵攻開始以降、初めてとなる。その思惑も定かではないが、NATO加盟国であるトルコに有利な条件を提示し、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に揺さぶりをかけるのは間違いないとされる。
アメリカがひとまず様子見を決めこんだ今、トルコ政府がロシアに対してどのような対応を示すか、注目される。