小倉は2週ほど小休止となり、今週は新潟と札幌の2場開催だが、盛夏のさなかでも熱戦は続いている。
新潟の開幕週を飾るのは恒例となった新潟名物の直線競馬、アイビスサマーダッシュ。芝の直線1000メートルで争われる電光石火の電撃戦だけに、後手を踏んでスムーズに自分の競馬ができないようなら、あっさりとおしまいとなる。それでいて逃げ切りは少なく、つかみづらい難解な一戦だ。
スピードの絶対値がモノを言うレースではあるが、5ハロン戦でも脚の使いどころが肝心。瞬時に決まるレースでありながら、騎手の腕が問われる、見応え十分の重賞である。
3年連続連対中のライオンボスや、昨年の覇者オールアットワンスなど、今年も快速自慢が名を連ねた。恐らくフルゲート(18頭)か、それに近い多頭数で争われることになるだろうが、簡単に人気サイドで決まるか、どうか。
周知のように、外枠がよく連に絡んでいる。その理由は、通常のレースでは外ラチ沿いにコースを取ることは大きなロスになるため避けるが、それだけに芝生の痛みがなく、よって外ラチ沿いはスピードが乗る。だから、楽に外ラチに寄せやすい外枠の馬にチャンスが転がり込むわけだ。
過去21回を見ても、12頭立てで行われた第1回を除いて、20年連続で2桁馬番の馬が連対中。中山のマイル戦のように枠順に有利、不利があるレースであることは、頭に入れておいたほうがいいだろう。
さらにデータをひもとくと、02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は6回(馬連は1回)。この間、1番人気馬は9勝(2着4回)、2番人気馬は4勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回。荒れる時は荒れるが、人気勢はそう大きく崩れることが少ないということか。
年齢的には充実の4歳、5歳勢がよく連に絡んでいる。また、斤量が軽いこともあるが、3歳馬も出走頭数の割に3勝(2着3回)と健闘が目立ち、おもしろいことに全て牝馬である。
そう、このレースは3歳馬に限らず、牝馬の活躍が目立つのも特徴だ。過去20年で16勝(2着9回)は驚異的で、“暑さに強い牝馬”の格言が見事に当てはまる重賞と言えるだろう。
それでも当欄としては、牡馬に狙いを置いてみた。最も期待を寄せたいのは、ヴェントヴォーチェだ。
実績からもわかるとおり、快速が売りの典型的な短距離馬。前走の函館スプリントS(7着)は、ひと息入っていて仕上がりがイマイチ。本来の行き足がなかったのは、そのためだ。
しかし、しまいの伸びは鋭く、抑える競馬もできる進境がうかがえたのはプラス材料である。前走後はここを目標に好仕上がり。しっかりと乗り込まれてきており、中間の稽古内容が実によく「前走以上の状態」と、厩舎スタッフが口をそろえるほど。ならばチャンスは十分だろう。
直線競馬でも勝ち鞍(1戦1勝)をあげているように不安はない。よほどの内枠を引かない限り、狙い撃ちといきたい。
札幌のクイーンSは、テルツェットに期待だ。
前走のヴィクトリアMは13着と大きく期待を裏切ったが、その後、短期放牧を挟んでここを目標に丹念に乗り込まれてきた。
中間の追い切りの動きは軽快でリズミカル。力を出せる仕上がりにあるとみて間違いなしだ。
昨年(函館で代替)の覇者であり、洋芝は合う。1800メートルも3戦2勝と得意にしており、良馬場条件に勝ち負けとみた。