「小田原記念」◎郡司浩平/○吉田拓矢/▲守澤太志/△深谷知広/清水裕友/園田匠/内藤秀久/山田英明/浅井康太/坂口晃輔/長島大介/町田太我
先行有利な33バンクで怖いのは、位置取りが強引な追い込み選手の台頭だ。
「小田原記念」(8月25日【木】~28日【日】)には、33バンク向きの強力機動型がそろう。ただし、レース巧者の追い込み選手の差し脚も軽視できず、波乱の決着も押さえておきたい。
地元の郡司浩平は、負けられないシリーズになる。前走の西武園オールスターは準決勝で敗退し、4月川崎記念を勝ったあと、優勝から遠ざかっている。ややツキに見放されている感もあるが、ここは深谷知広の番手から抜け出し、19年以来4度目の頂点に立つ。
吉田拓矢が関東勢の先頭で郡司に肉薄する。先行力が戻り、長島大介に武藤龍生(埼玉)が勝ち上がれば強力な3車ライン。逆転も十分ある。
あとは、強引な位置取りや飛びつきもできる守澤太志の強襲と、深谷の逃げ切りを狙ってみたい。
印は回らなかったが、浅井康太の自在戦は軽視できない。中部が手薄な分だけ割り引いたが、さばきと立ち回りは巧み。自力もあり、混戦で一気の浮上を警戒したい。
吉田拓につける長島は、番手選手としてのスキルをまだ持ち合わせていない。守澤や浅井の半分でもヨコを戦えるようになれば、一皮剥けるはずだ。
【大穴この1車】
山下一輝(山口・96期)。
今年の初優勝だった6月福井(〈3〉〈1〉〈1〉)から3場所連続V。その間の9戦中6本が万車券だったように、それほど人気にならない選手が、前走のオールスター(〈5〉〈2〉〈8〉未〈2〉〈3〉)で大爆発した。2戦目の14万630円を皮切りに4戦目1万円超、最終戦4万円超と掲示板に載った3戦全てで高配当を演出した。その勢いはまだ衰えていない。ここも2本あるのではないか。
【狙い目の伏兵3人】
元Jリーガーの北井佑季(神奈川・119期)が、5月に特昇してからも好調だ。逃げ切りしか頭にない行きっぷりは、32歳とは思えないほど若々しい。GIを3度制した師匠の高木隆弘(S2)もここを走る。初参戦の記念で活躍するようなら、これからが楽しみになる。
内山雅貴(静岡・113期)は、記念ではよく1次予選を突破し、2度準決勝に乗っている。競走得点も104点を超える。まずは3度目のセミファイナルが目標だろう。
久田裕也(徳島・117期)が伸び悩んでいるのは戦法に迷いがあるからだろう。叩いてでも主導権を取れば、押し切りがある。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。