薄毛、脱毛といえば、男性ホルモン原因説が唱えられてきたが、まったく新しい視点で作られた発毛剤が韓国で登場し、オヤジの救世主となっている。間もなく日本にも上陸する「夢の液体」の正体を探ると‥‥。
昨年12月に韓国で発売されるや、100万本に迫る爆発的な売り上げを記録。まずは「ビタブリッドC」なる「発毛剤」の仕組みから見ていこう。
これまでの育毛剤と違うのは、ビタミンCを主成分としていること。頭皮に塗るビタミンであり、薬の副作用のような心配がないという。ビタミンCは経口摂取した場合、皮膚に到達する量は1%未満と言われ、塗布したとしてもすぐに酸化し、壊れやすい。そこで、亜鉛でコーティング。頭皮から浸透し、亜鉛がタンパク質と結び付くとコーティングが剥がれ、ビタミンCが力を発揮する──。
研究・開発に携わった県立広島大学・三羽信比古名誉教授によれば、
「毛細血管の機械強度は血管壁の主成分であるコラーゲンが担っています。コラーゲンの鎖は1本のままだと血管壁が脆弱になり、出血して壊血病(ビタミンC欠乏症)となります。3本のコラーゲンの鎖が螺旋状に絡み合ってこそ、血管壁が強くたくましくなる。この鎖を3本寄せ集める役割はビタミンCだけが担っており、他のいかなる成分でも代替が利きません」
毛髪再生医学の専門家も、
「確かにビタミンCには(動脈硬化や老化などを防ぐ)抗酸化作用があるし、亜鉛は髪の毛を作るうえで重要な要素となります」
「ビタブリッドC」は、ビタミンCのパウダーとボトル(スプレー式とスポイト式)、そして専用リキッドとスプーンで1セット。スプーン2分の1杯分のパウダーをボトルに入れ、付属のリキッドあるいは水で溶かす。それを1日2回に分けて、スプレーかスポイトで塗布するシステムである。6月下旬から日本での販売を手がけるビタブリッドジャパンの担当者に話を聞いた。
「約1~2カ月で頭皮環境が良化します。頭皮が真っ赤だったり毛穴にかなり脂が詰まっている人が、赤みが取れたり脂分が適正量になったり。ただ、悪い生活習慣はビタブリッドCの力を半減させる可能性があります。塗ったあとはこするのではなく、指で押し込む感じでマッサージ。ビタミンCを約12時間以上、持続的に頭皮に供給するので、朝晩2回をお勧めします。塗布する前に使うシャンプーは何でもかまいません」
長年、ハゲに悩む韓国人男性(68)が話す。
「韓国では大変な騒ぎになっています。私は使い始めて4カ月たちますが、柔らかくて細かった毛が太くなりました」
今年初めに韓国を旅行した際に購入してきたという会社員のK氏(46)は2月上旬から、ハゲた頭頂部にこの商品を試し、経過を観察してきた。K氏が言う。
「正直、まったく信用していませんでしたし、最初の1カ月は変化がわかりませんでした。それでも1日2回、塗布する生活を続けました。風呂上がりにはドライヤーで髪の毛を乾かしてから。濡れたままではなく、頭皮環境が落ち着いた状態で塗布するといいということでした」
2カ月ほどすると、K氏はあることに気づく。
「抜け毛が減り、コシも出てきたと感じました。髪の毛をセットする際、強くなった感覚です。実際、美容室で頭皮を見てもらったところ、1つの毛穴から細い毛が1本だけ出ていたところにもう1本生えていたんです。ハゲていた部分の幅が9センチから7センチに減り、だんだん年相応に見られるように。久しぶりに会った友人にも『増えたんじゃないのか』と言われました。韓国では限りなく『元どおり』になっている人がいるというので、どこまで効果が続くのか見てみたいですね」