今年もあっという間に師走となり、関東は中山に舞台を移すが、今週のメインはその中山でも阪神でもなく、中京でのチャンピオンズカップだ。
ダート界のいわば王者決定戦であり、パワーが売り物の砂巧者が一堂に集うだけに、とにかく多士済々で顔ぶれがいい。出走馬のほとんどが重賞勝ち馬か、僅差2着がある、それに準ずる馬。しかもノビシロ十分の3歳馬が3頭エントリーしており、どんな決着をみるのか、馬券的にも極めておもしろい一戦だ。
今回で23回目と歴史の浅いGIだが、他のダート戦同様、5歳、6歳馬がよく連対している。ただ、高齢馬が多く出走してくるが、7歳以上で勝った馬はいない(2着2回)。
ということで、過去のデータを見てみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は6回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は7勝(2着6回)、2番人気馬はわずか2勝(2着0回)で、1、2番人気馬のワンツー決着は、1回のみ。大きく荒れることは少ないが、順当に収まることもまた多くはない。
年齢的には前述したように高齢馬は苦戦を強いられている。とはいえ、充実ぶりが目立つ5歳馬は、出走頭数が多いものの他の年代を圧倒しており、8勝(2着6回)。6歳馬の4勝(2着7回)も特筆していいだろう。
それと3歳馬だ。第2回にクロフネが圧勝したのは周知だろうが、古馬に対して2キロ斤量が軽い(牡馬55キロ、牝馬53キロ)だけで、力のある馬は互角に渡り合っており、5勝(2着2回)をあげている。勢いに乗じた馬はキャリアで見劣っても、軽視はできないということがわかる。
改めて顔ぶれを見てみる。怖い3歳馬は前走のJBCクラシックで2着したクラウンプライド、JDDを制したGI馬のノットゥルノ、そして重賞で好走続きのハピと、ここでもチャンスのある馬ばかり。対する4歳以上の古馬陣も、昨年の覇者テーオーケインズを筆頭に、前走重賞勝ちのサンライズホープ、ジュンライトボルトなど、錚々たる布陣。まさにどう転ぶか予断を許さない。
悩むところだが、穴党として大きく期待を寄せたいのは、スマッシングハーツだ。前走の武蔵野Sでも重い印を打って注目していたが、比較的緩い前残りの流れの中、終始、最後方に近い位置での追走では苦しかった。しまい強烈な末脚を駆使したものの、4着までが精いっぱいという感じ。
が、陣営としては手応えを感じ取ったようで、ここに向けての調整に抜かりはない。中間の稽古内容は軽快かつ伸びやかな動きで、まずは文句なし。1週前の追い切りも実によかった。
「どちらかというと、使われながら調子を上げていくタイプ。普段から雰囲気がよく、このぶんなら、そう見劣りしないと思う」
新谷調教師をはじめ、厩舎スタッフはこう期待感を口にする。
マイラーのイメージが強い馬だが、今年2月には中京ダ1900メートルでも勝っており、相性のいい中京での競馬。ここは休み明け3戦目の走り頃だけに、決して軽く見るべきではない。
母系は欧州の一流血脈で、7代母は英1000ギニーを勝ち、英オークス馬でもある。力を要する良馬場条件に大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、タガノビューティーだ。こちらもスマッシングハーツと同じヘニーヒューズ産駒で、この秋2戦して状態はアップしている。マイル以下の距離を中心に使われているが左回りはとにかく得意で、1800メートルも〈1 1 0 0〉。展開しだいでは“一発”があっていい。