14年ぶりに岡田彰布監督が就任し、「アレ」を目指す阪神の泣き所が、早くも明らかになってきた。
今季まで捕手を指導していた藤井彰人バッテリーコーチが、広島のヘッドコーチに就任。新たにバッテリーコーチとなった嶋田宗彦前スコアラーの「時差ボケ」が不安視され始めているからだ。
在阪スポーツ紙デスクは現状について、次のように解説する。
「嶋田コーチはかつて1、2軍でバッテリーコーチを務めた経験はあるが、それは昔の話です。12年からは、スコアラーとしてチームを支えてきました。その分析力は評価されていますが、この10年間で選手の指導法も変わってきている。かつてのような熱血指導だけでは、選手がついてはこない時代です」
岡田監督も当初は、違う人物をバッテリーコーチとして考えていたという。在阪テレビ局関係者が内情を明かす。
「現在は他球団にいる人物を何人か、ピックアップしていたようです。でも契約の関係で、来季は身動きがとれない人ばかり。断念せざるを得なかったようです」
さらに、85年の日本一メンバーだった木戸克彦プロスカウト部長を現場復帰させるプランも持っていた。だが、こちらも球団内の意思統一を図れず、実現せず。いわば嶋田コーチの就任は大学受験にたとえれば、第1希望、第2希望に落ちてなんとか滑り止めに引っかかったようなものなのだ。
矢野前監督は今季、梅野隆太郎と坂本誠志郎を捕手として併用してきた。来季に関して岡田監督は、梅野を捕手の1番手として起用する方針だが、梅野の打撃力はいまひとつ。勝負どころのリードが単調になる欠点もある。
梅野が投手陣を引っ張り、チームを「アレ」に導くためには、もう1段階も2段階も成長しなくてはいけない。だが、嶋田コーチが的確な指導をできるかどうか。野村ID野球の申し子である野村克則2軍バッテリーコーチの1軍昇格の方がよかった…とならなければいいのだが。
(阿部勝彦)