まったく懲りない男である。「週刊文春」が報じた年金未納疑惑への対応で見せた、タレント出身の中条きよし参院議員の「KYぶり」だ。
昨年11月15日、国会質問デビューの舞台となった参院文教科学委員会で、中条氏はあろうことか、9月にリリースした新曲「カサブランカ浪漫」の宣伝と、12月28日に予定されていた「中条きよしラストディナーショー」のPRをブチ上げて、質問を締めくくってみせた。
議員とタレントの二股批判が燻り続ける中、暮れのディナーショーは予定通り敢行され、年明けから議員活動に専念し始めていた矢先の、今回のスキャンダル噴出である。
記事によれば、中条氏の年金保険料の未納期間は数十年に及び、未納金額はおよそ750万円にも上るとされる。
中条氏が所属する日本維新の会の藤田文武幹事長は「一部に事実関係の誤りがある」「調査には2~3カ月かかる」との見通しを示したが、中条氏本人がぶら下がり会見で、以下のように失言を重ねてしまったのだ。
「事実関係を確認して、幹事長に報告することになっています。それからの話ということにさせていただいて。ちょっとお騒がせしますけど、僕はうそはつきませんから。大丈夫です。『うそ』は歌だけですから。逃げも隠れもしません」
長年にわたって永田町を取材してきた、ベテランの政治ジャーナリストは、
「当選後に日本年金機構から督促を受けた際、中条氏は『年金なんて、いらない。払わない』と述べて、支払いを拒否したとも報じられている。本人は支払い拒否発言を全面否定していますが、いずれにせよ年金保険料の支払いは法律で『国民の義務』とされており、国民の模範となるべき国会議員が未納というのではシャレにならない。中条氏の今回の開き直りを見て、国民年金の未加入者がさらに増える、という事態になりかねません」
中でも問題視されるのが、自身のヒット曲「うそ」に引っかけて「うそは歌だけ」などと厚顔発言に及んだ点だ。政治ジャーナリストが続けて一刀両断する。
「昨年の謝罪会見でも『最後のディナーショー、本当にそういう気持ちです。と言うとまた宣伝になる?』と軽口を叩いて大顰蹙を買った。そして、今回のうそ発言。まさに度し難い『KYぶり』と言っていい」
だからタレント出身議員は…。そんな声が聞こえてきそうである。