留学生はもちろん技能実習生、介護ビザと10年前とは比較できぬほど外国人の在留資格者は増加。それに伴って、不良外国人の暗躍も目立ち始めている。裏社会に潜入して取材を続ける専門家に聞く「最も凶悪な外国人マフィア」とは!?
今年11月、山梨県警が畑から桃を大量に盗んだ容疑でベトナム人2人を逮捕。この2人は以前にも茨城で梨を大量に盗んで逮捕されており、広域で盗みを繰り返す窃盗団であった。
こうしたベトナム人の犯罪が急増している。警察庁が公表する最新の統計「組織犯罪の情勢」(令和3年末時点)によれば、国籍別検挙人員でベトナムが3年連続の1位。2位の中国をゆうに上回る4007人となっている。先頃、著書「日本で暗躍する外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団」(彩図社)が文庫化されたルポライターの真樹哲也氏はこう話す。
「日本で悪事を働くベトナム人が最初からマフィアだったわけではなく、多くは技能実習生として来日。長時間労働など苛酷な環境から逃げ出して犯罪に走るのです。20年に群馬で同居していた13人のベトナム人が家畜窃盗で逮捕されたように、彼らの犯罪のメインは窃盗です。盗んだ家畜や農作物は、独自のコミュニティを駆使して、最終的には外国人向けの飲食店などで提供されることが多いようですね」
一大勢力となったベトナムマフィアだが、新興勢力が勃興し始めているという。捜査関係者によると、
「ベトナムの経済成長は著しく、以前ほど来日するメリットがなくなっている。ベトナムと日本の給与格差が小さくなっているせいで、不良の供給源である技能実習生が減っている。これからは、より貧しい国の出身者がマフィア化していくだろう」
そうした新興勢力として注目されるのがネパールマフィア。真樹氏が続ける。
「新宿、蒲田、池袋のネパール料理屋が集中している地域で、若いネパール人が徒党を組んでいます。『東京ブラザーズ』や『ロイヤル蒲田ボーイズ』などのグループも現れています」
窃盗を繰り返すベトナムマフィアに比べると、ネパールマフィアは暴力性の傾向が強い。それが顕著に表れたのは、18年10月に起きた事件。ネパール料理店のBGM変更が原因で、「ロイヤル蒲田ボーイズ」のメンバーが客のネパール人留学生の頭部等をビール瓶で殴打したのだ。が、真樹氏は自身の経験をもとにこう指摘する。
「彼らは情に厚く、仲間を守るためには、たとえヤクザが相手でも引くことはなく、逆に恐れるほどのスピードで仲間が集結します。確かに、僕は取材中の誤解からいきなりハンマーで殴りかかられましたが、基本的に日本人には手を出しません。そして、まだ本格的に組織化されているわけではなく、警察発表やマスコミの報道が大袈裟に伝えるきらいがあります」
となると、より長く、そして深く日本に根づいている外国人マフィアのほうが危険なのだろうか。中国人はもちろん、ブラジル人やフィリピン系と日本国内にはグループ化したマフィアが存在する。だが、多くは一般人への手出しをご法度にしている。ただ、日本人を食い物にする連中がいるのは事実で、ナイジェリアマフィアが、その典型例だ。
「ヤクザに話を通した上で、ぼったくりバーや薬物売買を行っています。最近では、日本人と共犯で国際ロマンス詐欺に手を染めるナイジェリアマフィアも増えていますね。僕もぼったくりバーに潜入しましたが、体の大きなナイジェリア人に店内で筋弛緩剤を盛られ、いつの間にか財布の中の10万円が消えていた。しかも、数週間は寝たきり状態になって困りました」
現状、最凶なのはナイジェリアマフィアだろうが、今後はより凶悪な新勢力が現れるかもしれない‥‥。