駒大に勝つには、日本インカレ5000メートルで2連覇したエースの近藤幸太郎(4年)、岸本大紀(4年)、佐藤一世(3年)の3選手が柱。ここが機能しなければ話になりません。しかし、2区でエース対決になると、貫禄は田澤選手のほうが上。1区で駒大に20~30秒は離さないと苦しくなります。山登りの5区には、前回大会で「若の神」が降臨したと言われた若林宏樹選手(2年)がいるし、聞くところによると、黒田朝日選手(1年)も山に強く、カードとして隠し持っているようなので、特殊区間は何が起きてもおかしくありません。
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駒大と青学の優勝争いに絡んでくる有力校に、瀬古氏は伏兵の國學院大學を挙げる。前回の箱根は8位だが、今季は出雲駅伝と全日本大学駅伝でともに2位と好成績を残し、チームの急成長を印象づけた。
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全員が長い距離を走れて、長ければ長いほど実力を発揮するチーム。主将の中西大翔選手(4年)、伊地知賢造選手(3年)、エース級に成長した平林清澄選手(2年)、山本歩夢選手(2年)が4本柱と言われ、実力は青学にも見劣りしません。
順天堂大学も十分に上位が狙えるチームです。07年の第83回大会以降、優勝から遠ざかっていますが、前回は2位と躍進しています。東京五輪で3000メートル障害に出場し、日本人初の7位入賞した大エース・三浦龍司選手(3年)が本調子で箱根に臨めればチームは乗ってくるはず。
名前の力って意外と大きいんですよ。言い方は悪いかもしれませんが、無名の選手が走っていて、後ろから三浦選手に並ばれたら「あっ、三浦だ」って意識して、走りが硬くなることもある。そういう意味では、エースが揃う2区よりも、後ろから順位を押し上げる3区で実力を発揮しやすいかもしれません。
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毎年注目を集める外国人選手の中でも、ズバ抜けているのは、東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手(4年)だ。1年で3区、2年で2区の区間新記録を樹立し、“史上最強の留学生”と称されている。今大会は日本人エース・丹所健選手(4年)を2区に起用し、4区での登場が有力視されている。
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確かにヴィンセント選手は結果を残しているけど、私は史上最強とまでは思いません。トラックは田澤選手のほうが速いですからね。シューズの影響も大きい。ヴィンセント選手の“パワー走り”と厚底シューズがマッチしているんですよ。簡単に説明すると、厚底シューズは履くだけで前傾姿勢になり、踏み込むと、グンッと加速するように前への推進力が得られる。ヴィンセント選手は踏み込む力が強いので、よりスピードアップにつながり、箱根というロードレースで結果が出ているのでしょう。我々のような昭和の時代のシューズだったら、同じような記録は出なかったと思います。
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カーボンプレート入りの厚底シューズといえば、17年にナイキが発売。長距離界で「選手の記録が伸びる」と話題になると、箱根駅伝にもブームが押し寄せた。
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厚底シューズを履きこなせる選手が増えてきましたね。今までのシューズと違い、太腿や股関節まわりに負担がかかり、故障するケースが見られました。選手たちは当初、びくびくしながら履いていたのですが、シューズに対応したウエイトトレーニングを取り入れたことで怪我が減少。あまり言いたくないのですが、1人の努力というより、シューズが記録を後押ししていることは否めませんね(笑)。