これは、藤浪晋太郎投手のMLB挑戦、そして、大谷翔平選手の争奪戦にも影響してきそうだ。
それはメジャーリーグのカルロス・コレアという選手の存在だ。ツインズからFAになり、サンフランシスコ・ジャイアンツと契約合意していたのだが、身体検査で問題が生じたため、入団会見が延期に。その後、一転してニューヨーク・メッツとの契約合意が報じられたのである。12年総額3億1500万ドル(約441億円)という、長期かつ大型契約だ。
この一件が、なぜ藤浪の去就に影響を及ぼすのか? 理由は簡単だ。コレアと藤浪は代理人が同じ。敏腕エージェントとして知られるスコット・ボラス氏である。
「藤浪に興味を示した球団がいくつかあったと伝えられています。でも、近年の藤浪は成績がイマイチで、米球団が独自に判断するにしても限界があります。ボラス氏のセールストークを信じるしかない部分もあって…」(在米ジャーナリスト)
コレアは21年シーズン、ゴールドグラブ賞受賞者のなかで最も優れた守備を見せた選手に贈られるプラチナグラブ賞を獲得している。「シーズン20本塁打、OPS8割5分」をコンスタントに残すスラッガーでもあるが、「ケガの多い選手」とも認識されていた。
「21年までアストロズに在籍していました。アストロズの看板選手で21年にオフにFAとなることから、5年総額1億2500万ドルで契約延長オファーを受けましたが、これを断っています」(現地記者)
コレアは長期・大型契約を望んでいた。しかし、故障の多さがネックとなり、それまでは希望年数が勝ち取れなかった。22年は「1年ごとに契約を破棄できる条件」を含め、ツインズと3年契約を結んでいた。今回のメッツとの合意でようやく長期契約が叶ったのだが、その背景にボラス氏の“猛アピール”があったことは想像に難くない。
藤浪のセールストークに“猜疑の目”が向けられなければいいのだが…。
「補強資金が豊富な球団、たとえばドジャースなどは今オフは比較的動きが大人しい。これは、来年オフに大谷翔平がいったんフリーエージェントになるのを見越してのことで、『大谷争奪戦』のために資金をプールしているとも伝えられています」(前出・現地記者)
様々な要素が絡み合う、メジャー市場。影響を受ける藤浪はどうなるのか。
(飯山満/スポーツライター)