サッカー日本代表・森保一監督の続投発表の遅れは、日本サッカー協会の内部闘争の結果だった。
W杯カタール大会で、日本代表は大健闘した。クロアチアにはPK戦の末に敗れ、悲願のベスト8進出は霧散。だが、ドイツ、スペインというW杯優勝国を破り、2大会連続の決勝トーナメント進出を果たしたことで、森保監督の評価は上昇の一途をたどっている。
これまで代表チームの監督は、W杯終了をもって交代するのが慣例となっていた。そのため、大会と並行して次期監督選びを進行させ、できるだけ早い時期に正式決定していた。
今回に関しては、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が早い段階で「彼は間違いなく、候補のひとり」と明言。森保監督本人も「(要請があれば)考えたい」と意欲を示し、早期決着するものだと思われていた。ところが、まだ二転三転する可能性が残っているというのである。
いったい、どういうことか。ベテランのサッカージャーナリストは、次のように現状を解説する。
「代表監督の候補を選出し、協会の理事会に提出する技術委員会の反町康治委員長が、森保続投に二の足を踏んでいるのです。森保監督の戦い方ではベスト8は難しい、との判断からですね。そのため、田嶋会長の森保推しに抵抗しているようです」
現段階では田嶋会長だけでなく、世間も森保監督の続投支持で盛り上がっている。森保監督を交代させるようなことになれば、協会側にもクレームが殺到、炎上する可能性がある。そのため、技術委員会が時間稼ぎをしているとの見方もできるが、
「どうも森保続投の盛り上がりが沈静化するのを待っているようです。沈静化しなければ、反町委員長も折れるしかないでしょうね。そうなった場合でも、ひとまず2年契約で様子を見たいようですが」(スポーツ紙サッカー担当デスク)
W杯を終了したばかりで当面、W杯予選やアジアカップといった、外国チームとガチンコ勝負の予定はない。だが、2027年のカナダ・アメリカ・メキシコ共催大会で悲願のベスト8を勝ち取るためには、スタートは早い方がいい。一日でも早く協会内の意見を統一し、次期監督を決定するべきだ。
(阿部勝彦)