一昨年の年度代表馬エフフォーリア(牡5歳、美浦・鹿戸)が背水の陣で、2月25日にサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬で行われる国際G3・ネオムターフC(芝2100メートル)に臨む可能性が出てきた。所属するキャロットクラブが1月3日、ウェブサイトで同レースに予備登録することを発表した。
ネオムターフCはG3ながら、優勝賞金90万米ドルという高額賞金のレースで、昨年はC・ルメールが騎乗するオーソリティが優勝している。
エフフォーリアは21年に皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念を勝ったものの、昨年は低迷。大阪杯は1番人気に推されながら9着。宝塚記念も1番人気で6着に終わり、有馬記念は5着と踏ん張りきれなかった。
その後は福島県のノーザンファーム天栄で調整を続けていたが、膝や球節に不安が発生。北海道のノーザンファーム空港へ移動し、治療に専念するハメになった。馬産地関係者はこの時の陣営について、次のように明かした。
「確かにハイペースのレースに対応できなかった部分はあった。だが大阪杯、宝塚記念の惨敗でそのまま脚部不安が解消されなければ、電撃引退。種牡馬になるプランも検討されていたようです」
結局、連覇がかかる天皇賞・秋、ジャパンカップの出走を回避。騎乗する横山武史が「みんな好き勝手に言うけど、強い」と自信を持って臨んだ有馬記念でも5着に終わり、馬券に絡むことができなかった。そのため、競馬ファンの間では「このままボロボロになる姿は見たくない。引退してほしい」という声も大きくなっている。
現在はノーザンファーム天栄へ放牧に出されているが、昨年のレースぶりを見る限り、G1戦線で活躍するのは難しい状況だろう。復活を期す陣営が選んだのが格下レースで、毎年スローな展開となるネオムターフCだ。
だが、ここで結果を残せなければ、種牡馬としての価値が下がる前に、陣営は引退に踏み切るしかない。コントレイル、グランアレグリア、クロノジェネシスらを負かした超大物馬も、このまま終わってしまうのか。