昨年の大晦日、バレーボール選手の西田有志と古賀紗理那、また俳優の平岡祐太と一般女性が結婚を発表。さらに元日には、「GENERATIONS」の片寄涼太と土屋太鳳、綾野剛と佐久間由衣の結婚も立て続けに明らかになるなど、結婚ラッシュが続いた。
だが、そのいずれもがInstagramやTwitterなどSNSでの発表で、昭和や平成の時代に見られた、2人が手を握り見つめ合って…などという記者会見は、すっかり過去の遺産になったようだ。
ところが過去には、手を握り見つめ合うだけでなく、お揃いの耳・鼻ピアスをして現れ、
「今日の気持ちは、まっピンクで~す。これは初恋ですよ。キャ~、恥ずかしい!」
と喜びを爆発させたカップルがいた。タレントでモデルの吉川ひなのと、ロックバンド「SHAZNA」のボーカル・IZAMとの結婚発表は、まさに時代を象徴した会見だったように思う。
時は99年3月3日。場所は東京・紀尾井町の、赤坂プリンスホテル。当時、IZAMは26歳で、ひなの19歳。2月24日に入籍を済ませ、会見に臨んだ2人は冒頭、まずひなのが、
「ひな祭りの日に、ひなののお祭りをご報告できて嬉しいでぇ~す」
と挨拶。IZAMUもプロポーズの際には、
「一生涯の居場所を作ってあげよう、というようなことを言ったと思います」
と語り、入籍を記念して1台800万円のお揃いのベンツを購入したと告白。報道陣は口あんぐりだ。さらには、ひなのによれば、
「彼のまつげが長くてうらやましい。なんでひなのより長いの~」
との理由でケンカになることはあるものの、
「せっかく結婚というカワイイ制度があるんだから、乗らない手はないでしょ。(理想の家庭は)犬がたくさんいて、賑やかで、けんかしてもすぐ仲直りして、ご飯の時はテレビを消すようなおうち」
あんぐりした報道陣の口がさらに広がったことを憶えている。
ところが、順当というべきか、案の定というべきなのか、7月には別居が発覚。9月には一部スポーツ紙が「離婚は決定的」と報じることに。結局、「ままごと婚」と揶揄された7カ月の結婚生活は終焉を迎えることになる。
ただ、離婚に際し、双方の所属事務所は「プライベートなことはお答えできません」とのことだったので、6月4日に予定されていた「招待客500人」という豪華披露宴のキャンセルを余儀なくされた披露宴会場関係者を取材した。
すると当初、ひなの主導で行われていた計画は、5月4日にハネムーンから帰国後に一変。突然、ひなのが打ち合わせに来なくなり、最終的にはIZAMの事務所関係者から正式なキャンセル依頼があった、という証言を得ることに。つまり2人は、すでに「成田離婚」状態だったようなのだ。
離婚後、IZAMは06年に吉岡美穂と再婚し、自虐ネタで恐妻家キャラを確立。一方、ひなのも再婚し、子育てに奔走する日々だと伝えられるが、あの結婚会見の強烈なインパクトは二十数年を経た今もなお、忘れられない記憶として焼き付いている。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。