7月14日のW杯決勝戦に向けて盛り上がる一方、早々に敗退したサッカー日本代表は、監督人事が大詰めを迎えようとしている。就任が確実視されるハビエル・アギレ氏(55)とはいったいいかなる「素性」の人物なのか。
「日本サッカー協会の原博実技術委員長(55)は、前回10年の南アフリカ大会後にもアギレ氏を監督候補にリストアップしており、ザッケローニ前監督より優先順位は高かった。アギレJAPAN誕生は、4年越しのラブコールが実った形です」(協会関係者)
メキシコ人のアギレ氏は指導者として、02年のW杯日韓大会、10年の南アフリカ大会でメキシコ代表を率い、ともに16強に進出した実績を持つ。さらに、スペインリーグで弱小チームのオサスナを上位に引き上げたほか、12年から14年5月まで財政難で2部降格圏内にあるエスパニョールの指揮を執り、2年連続でリーガエスパニョーラに残留させた。
元日本代表でサッカー解説者の戸田和幸氏が、日本代表の課題を指摘する。
「W杯を見て、あらためてサッカーは『魂がぶつかり合う戦いだ』ということを痛感しました。けれども残念ながら今回の日本代表には、どんな局面でもひるむことなく立ち向かっていく姿勢が他国よりも劣っていた。相手よりもたくさん走って、1対1ではひたむきに食らいついていくという強い気持ちがあって初めて、技術や敏捷性は生きてくるということです。そのようなサッカーの本質を体現していたのが、(かつてアギレ氏が監督だった)メキシコ代表やチリ代表。彼らの勝利への執念や献身性は大いに見習うべきです」
代表チームを「世界仕様」に叩き直す役割を担うアギレ氏の指導現場はというと、
「試合中はほとんどベンチに座っていることがなく、ピッチサイドのテクニカルエリアに飛び出し、身ぶり手ぶりで大声を張り上げる。温厚な性格で協調性を重視した前任者とは対照的です。野球で言えば、楽天の星野仙一監督のような鉄拳上等の熱血漢タイプ。とにかく選手には走り負けしないハードワークを求めます。足下の技術よりもまずは走力や筋力を徹底的に鍛え上げる指導法をスペインの新聞は『あれはサッカーのトレーニングではなく、軍隊の訓練だ』と評し、人間性を『拷問者』と表現しました」(サッカー専門誌記者)
そのドSぶりは、こんなエピソードも生んだ。
「メキシコ代表監督だった09年当時、パナマ代表との一戦で、タッチラインを越えてドリブルで駆け上がる相手選手のみぞおちにキックを一発入れて退場処分に。審判に向かって『Hijo de puta!(スペイン語で“クソ野郎!”の意味)』と言い放ち、処分されたこともあります」(海外サッカーメディア関係者)
その矛先は自軍に及ぶことも。この関係者が続ける。
「試合後の会見で『あの選手のミスがなかったら勝っていた』と名指しで批判し、覇気のないプレーをしていた選手には罵詈雑言を浴びせてシューズやボールを投げつけるなどの鉄拳制裁も目撃されています」