沖縄県を拠点とする特殊詐欺グループの男女8人が2月23日までに、兵庫県警などに逮捕された。指示役以外の6人は、沖縄県糸満市内のマンションや
石川県金沢市など、全国各地のホテルの部屋から「かけ子」として高齢者に詐欺の電話をかけ、現金をだまし取った疑いが持たれている。被害額は1億円以上に上る可能性があるという。
犯罪グループがマンションを借りることは容易なのか。沖縄の犯罪事情に詳しいジャーナリストが解説する。
「沖縄の賃貸契約は貸主が『県内の保証人がいないと借りることができない』というルールを定めている物件が多く、それ以外の方法では、契約時に保証会社に入ることが条件となっています。保証会社は身分証明書の確認や安定した収入など厳しい審査を求めるため、逮捕された指示役の2人は条件に満たないおそれがある。なので、地元の人間と深く関わっている可能性が高いと思います。これは沖縄の法律に違反した性サービス店がよく使う手なのですが、県内の人に小遣いを渡して名義を借りていたのかもしれません」
一方で、ホテルを拠点に「かけ子」として活動していたことについて、沖縄県内のホテル関係者は、次のように話す。
「沖縄は昔から、犯罪者や複雑な事情を抱えた人が逃避する土地として知られています。素性を明かさずに長期滞在できる宿も多く、ホテルスタッフは宿泊客にあまり関心を示しません。以前、勤めていたホテルでは、大学生が部屋に未成年者を連れ込んで乱倫パーティーを開催していた事実が発覚したことがあります。コロナ禍の移住ブームで本土から来る人は増えましたが、中には住民票を移していない身元不明者も多い。宿泊施設は身分証の提示を求めるなど厳しくしたいところですが、難しいところです」
地方にみられる閉鎖性があまりない沖縄の環境。犯罪グループが隠れるには好都合なのかもしれない。