世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けて、1月5日に被害者救済法が施行されたが、新たな被害者を出さないことも重要だ。水面下では正体を隠した違法な勧誘行為が横行しているようで‥‥。
「先日、ダーツバーで遊んでいたら、いきなり『LINEを交換しませんか』と声をかけられたんです。相手は20代の女性。お酒の酔いもあって、友達登録をしたのが始まりでした」
こう話すのは東京都内でOLをしているA子さん。その時、同行していた他の男友達も軽い気持ちでLINEを交換したのだが、
「しばらくやり取りが続いて、『バレーボールをやりませんか?』と提案してきたんです。その会場が、たまたま近所の区民体育館だったので『じゃあ、行こう』となって。他の友達もやる気満々だったのですが、その一人が『それってヘンな宗教じゃない?』と勘づいたんです」(A子さん)
実際にネットで「バレーボール」「宗教」「勧誘」といったワードで検索をかけると、旧統一教会に関する体験談がヒットする。旧統一教会の元信者が、バレーボールサークルをきっかけに入信したエピソードも閲覧できた。
A子さんは恐怖告白をこう締めくくった。
「バレーボールはドタキャンしてLINEはブロック。でも本名でSNSをやっていたので、いつ接触してくるか、住所がバレていないかと思うと怖くて‥‥。あの体育館には近寄らないようにしています」
この被害体験を受けて、ジャーナリストの鈴木エイト氏は次のように語る。
「スポーツサークルを名目に勧誘するのは宗教団体の常套手段。あくまで可能性としてですが、考えられるのは摂理もしくはヨハン教会系の団体。いずれも正体を隠した違法な勧誘行為で社会問題になっています」
2月14日には、奈良県奈良市で旧統一教会の友好団体による“偽装勧誘”が発覚。手芸サークルの名目で公民館の部屋を使い、勧誘活動を行っていたのだ。
「勧誘された被害者の立場で見れば、公共施設を使っているのだから、『きちんとした団体なのか』と信じてしまう。結果的に施設側がお墨付きを与えてしまっているのです」(鈴木エイト氏、以下同)
旧統一教会といえば、解散命令請求の可否を巡り、文化庁が調査を行っている真っ最中だが‥‥。
「これは1月11日、田中富広会長が参加した『伝道出発式』において、教団幹部が発表したのですが、昨年夏の安倍晋三元総理の銃撃事件以降、落ち込んでいた伝道数が、同年12月には以前の数まで戻ったとのことです。勧誘活動が再び活発化していると言っていいでしょう」
かねてから旧統一教会が勧誘の糸口にしてきたのが街頭アンケートだ。
「近年、多いのは結婚に関するアンケート。30代、40代の男性に『結婚に興味は?』と話しかけ、話題を合同結婚式へと持っていく。その際にも宗教法人を傘に『国から認められた団体』と信用させるのです」
あの手この手で接触してくる宗教団体に、どんな対策を取ればいいのか。
「教義ではなく、先に人間関係から築いていくのが彼らのやり方。囲い込んで、親や友人に相談させないよう仕向けてきます。その場で決めない、1人で決めないというのが鉄則。成人年齢が引き下げられ、コロナ禍が落ち着いてきたこともあって、今後は大学のキャンパスでの違法な勧誘に気をつけてほしいですね」
人を見たら勧誘と思え!?