中小企業を狙い撃ちにしたこれらの改革案についてはすでに政府税調も正式に了承、年末に出される来年度の税制改革案に早くも盛り込まれる予定だ。しかも【3】の外形標準課税の拡大によって、赤字の中小企業も課税されることになるのだから、まさに踏んだり蹴ったり。有力議員もこう語っている。
「大企業に対する減税分を中小企業に対する増税分で賄う。直接、懐が痛まない国民にとってはピンとこない話かもしれないが、やがては賃金カットや人員整理などの災厄となって降りかかってくる。圧倒的多数の国民は中小企業で働いているわけですからね」
もっとも、官邸関係者が中小企業課税を「当面の本命」と指摘しているように、今後、ケータイ新税やパチンコ新税がゾンビのように息を吹き返してくる可能性はある。例えばカジノの合法化に合わせてパチンコの出玉換金を合法化し、カジノ税創設のドサクサ紛れにパチンコ税を導入してしまう、などの作戦も大いにあり得るのだ。
しかも、話はこれで終わりにはならない。何しろ、日本の財政運営はただでさえ青息吐息の赤字操業。実は、党税調をはじめとする自民党内では今、法人税減税の財源補填に便乗する形で、「中小企業課税」のほかにも、さまざまな新税案がスタンバイ中なのだ。
例えば、自民党厚労族が画策している「専業主婦課税」。サラリーマン世帯の専業主婦は、年金保険料を納めなくても基礎年金の給付を受けられる。この第3号被保険者制度を撤廃したうえで、専業主婦から新たに年金保険料を徴収するという事実上の新税だ。
「計画を主導しているのは、川崎二郎元厚労相(66)が会長を務める『多様な働き方を支援する勉強会』なる議連。内容は専業主婦に月額3000円の保険料を負担させるというもので、川崎氏らは遅くとも5年後の導入を目指して、法改正の下準備に取りかかっています」(自民党厚労族議員)
あるいは、麻生太郎財務相(73)周辺から飛び出した「グルメ税」。1人1万円以上の飲食をした際、数百円の税金を巻き上げるというシロモノで、
「麻生氏がみずから提唱、導入した企業交際費減税の穴埋めのために捻り出されたものです」(財務省関係者)
対象は金持ち、とのフレコミだが、食事は別としても、飲み屋でうっかりハメを外せば、すぐに1万円を超えてしまう。
極めつきは「死亡消費税」である。厚労省幹部によれば、安倍総理のブレーンを務める東大・伊藤元重教授(62)が社会保障制度改革国民会議で打ち上げたもので、年金支給開始年齢の引き上げを狙う田村憲久厚労相(49)も、これを強力に後押ししているというのだ。