ポスティングシステムを利用して阪神からアスレチックス入りした藤浪晋太郎に対し、不安の声が漏れている。
藤浪は2月28日のエンゼルス戦に先発。2回を投げて1安打、3三振を奪い、無失点でオープン戦初登板を終えた。同学年のエンゼルス・大谷翔平との14年7月19日の球宴以来、3164日ぶりの競演を、日本のマスコミは大々的に報じた。だが現地では、投球内容への評価は決して高くないという。
メジャーリーグに精通するスポーツライターが語る。
「とにかく2回の投球がいただけない。先頭打者から3者連続四球で無死満塁のピンチを招きましたからね。最終的には後続を抑えて0点で切り抜けたわけですが、公式戦なら無死満塁の場面での交代もありうる。首脳陣の信頼を得たとは言い難い」
いくら無失点で抑えたとはいえ、四球が増えれば、それだけ球数も増える。日本とは違って球数に厳しいメジャーでは、先発しても勝ち星がつく5回まで投げさせてもらえる保証はない。
しかも四球で走者を出せば出すほど、味方の守備時間は長くなる。チームメートから不満の声が出てくるのは必然だ。
「藤浪は阪神時代から160キロ近いフォーシームと、140キロ台後半の落ちる球を武器としていましたが、近年は勝ち星に恵まれなかった。それは細かいコントロールがない上に、メンタルの問題で自滅を繰り返していたためです。メジャーに移籍しただけで、その問題が解消するとは思えない」(在阪スポーツ紙デスク)
今回はなんとか後続を抑えたが、日本では同じようなピンチで、暴投や死球で相手に得点を献上した。まともにボールが投げられない「イップス疑惑」が流れたほどだ。
アスレチックスのエマーソン投手コーチは初登板の感想を「自分の投げる直球が特別なものだと分かってほしい」と語ったが、社交辞令だろう。
藤浪程度の直球を投げる投手はメジャーではゴマンとおり、実績がないだけに、与えられるチャンスはそう多くない。
次回の登板予定は現地3月7日のダイヤモンドバックス戦。もう同じ過ちは繰り返せない。
(阿部勝彦)