「最近トイレに行く回数が増えた」「尿意が近い」と感じたら「頻尿」かもしれない。
「頻尿」は排尿の回数が増えて、日常生活に支障をきたす状態。1日に8~10回以上、夜間にトイレへ行く回数が2回以上というのが「頻尿」の目安だ。特に夜間の尿意で何度も目を覚ますようになると、睡眠の質が低下するため、治療の対象となる。
一般的に、1日の尿量が3lを超えると「多尿」と定義される。健康な成人の尿量は、個人差はあるが、1日に1000mlから2000ml程度だ。
水分を多く摂れば尿量は増えるが、中には、血液をサラサラにし、脳梗塞や心筋梗塞の予防につながると信じて、就寝前や夜間にたくさんの水分を摂る人もいる。しかし、この理論に科学的根拠はない。むしろ、水分の摂りすぎで頻尿になっている場合もあるだけに、まずは水分を控えることが必要となる。
水分の摂取以外に疑われるのが「過活動膀胱」だ。これは、膀胱が過敏になって尿が十分にたまっていなくても膀胱の筋肉が勝手に収縮して尿を出そうとする状態を指す。急に尿意をもよおして何回もトイレに行きたくなったり、トイレに間に合わずに尿を漏らしてしまう症状が現れたらこの病気を疑ったほうがいい。これは、生活習慣の見直しや薬を服用することで、膀胱の症状が改善する可能性が高い。
他にも「前立腺肥大症」の可能性もある。これは男性特有の疾患で、加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫するために頻尿に陥ってしまうのだ。70歳以上の4人に1人は治療が必要だと言われている。
「頻尿」に悩むようになったら様々な疾患を疑ったほうがいい。原因が思い当たらない場合は、泌尿器科専門医の早期受診が必要だろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。