早いもので、すったもんだの末に開幕した東京五輪からすでに1年半以上が経ってしまった。
そしてこの大会が「汚れた五輪」だったことに異論を挟む者はいないだろう。開会式前から演出者や作曲者の不祥事が伝えられたことも、いまだ記憶に新しい。そして、つい先日には東京地検特捜部が、入札談合事件で大会組織委員会元次長ら7人と6社を独占禁止法違反罪で起訴したばかりだ。これにより、2022年7月から続いた捜査がようやく終結したことになる。今は「五輪後」などでなく、大会に絡んで計22人もの関係者が起訴されるという異例の事態の真っ只中なのである。そして、こうした件について、
「五輪が終わってからどうしてこうなったのかをご説明、ご報告します」
と、かねてから見栄を切っていたのが、組織委員会の橋本聖子会長だった。
「しかし、閉会してから今に至るまで、彼女が説明をしたことはありません。前代未聞の不祥事について、橋本会長はいつ釈明会見をする気なのか。まさか組織委員会は解散したから会見はしなくてもいい、と思っていることはないでしょうが、当然ながら彼女には汚職の原因や経緯を国民に説明する責務があるはずです」(全国紙社会部記者)
女性蔑視発言で組織委員会会長の座を橋本会長に譲った森喜朗元首相ですら、昨年12月半ばに都内の会合に出席した際、
「当時の会長として、皆さんにおわび申し上げたい」
と、謝罪している。森氏が公の場で不祥事に言及するのは初めてとみられるが、一方で森氏は、不祥事は組織としてではなく「個人の問題」とも強調していた。
「事件が『組織の問題』か『個人の問題』かはいったん置くとしても、この森陳謝発言から2カ月以上が経っても橋本会長は動く気配がありません」(前出・社会部記者)
捜査が終結し、パリ五輪が来年に迫った今こそ、当時の最高責任者としてきっちりと説明をするべきではないか。