1点差の9回を大谷翔平が締め、日本の劇的優勝で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシックは、「野球離れ」や球団の不人気に悩むメディアも手助けしていた。
東京ドームで戦った1次リーグの4試合は、読売新聞社が主催興行主として入りながら、テレビ中継はテレビ朝日、TBS、プライム・ビデオの3媒体のみ。系列の日本テレビでは1試合も中継されなかった。
「日本テレビが本気を出せば中継はできますが、高額な放映権料を払う余裕はない。局内では次々とスポーツ中継権を手放している状況で、とてもWBC中継に意欲的な状況ではありませんでした」(日本テレビ局員)
中継権を持たない「ノンライツ」放送局が無償で使えるのは、1試合2分までの試合映像と試合前の練習、試合後のミックスゾーンでのインタビュー映像のみ。これらを組み合わせて報道番組、情報番組が制作されたのだが、
「いくら大谷が活躍しても利害関係がないので、ずっと扱うわけにはいかない。ウチはやっぱり、巨人の選手が活躍しないとダメなんです。抑えの大勢、6番を打つ岡本和真は準々決勝のイタリア戦からようやく見せ場があり、なんとか助かりました」(前出・日本テレビ局員)
流行りに乗っかるだけでは成立させられないだけに、裏では苦労が付きまとう。