ハリウッド俳優でユニセフ(国際児童基金)親善大使のオーランド・ブルーム氏が3月26日にウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と面会した。その際、創価学会の池田大作名誉会長のメッセージを伝えたという。
ブルーム氏はロシアによる侵略戦争でウクライナの子供たちの生活環境が大きく変わったことについて意見交換した後、「私は16歳の頃から仏教団体のメンバーで、師は池田大作という人物です」と述べ、創価学会員であると自己紹介した。
その上で、池田氏が1994年にイギリスの若者に送った励ましのメッセージを紹介し、朗読した。それは以下のようなものだった。
「時代は、力が正義である時代から、正義が力である時代へと変わっています。このような新しい時代には、最も優れたリーダーは特定の国や民族ではなく、全人類に利益をもたらす指針を定めます。人間が外的環境ではなく、内なる自分に目を向ける革命、人間革命を起こすのが重要とされる歴史に変化していきます。全ての母親を幸せにすることが、指導者の行動指針になります」
さらにブルーム氏は続けた。
「不屈の精神で戦わなくてはいけない。ある騎士が敵に囲まれ城を奪われた時、『もうお前の城はない。全てを失った』と嘲笑されたが、騎士は毅然として『私の城は、私の心の中にある』と言った」
そう語るとゼレンスキー大統領の胸を叩いて「あなたの心の中にも」と激励した。
ウクライナ語で書かれたこの一節を手渡されたゼレンスキー大統領は「本当にありがとう。大変光栄です」と応じている。
ブルーム氏は「毎日、自分を奮い立たせるために、このメッセージを読んでいます」と言ったように、これまでも池田氏のメッセージに言及してきた。
創価学会は1月11日に池田SGI(創価学会インターナショナル)会長名で「ウクライナ危機と核問題に関する緊急提言」を出した。国連の仲介で、ロシアとウクライナをはじめとする関係国の会合を開催し、停戦合意を実現させるよう提唱したのだ。
ただ、ウクライナにはドイツの主力戦車「レオパルト2」が続々と到着するなど、反転攻勢に向けた動きが加速している。ゼレンスキー大統領はブルーム氏との面会に先立つビデオ演説で、欧米に向かって「(長引く戦争を)防ぐことができるかは、あなた方の力にかかっている」と、さらなる武器の供与を呼びかけており、停戦に応じる雰囲気はないのである。