今村聖奈騎手が4週連続勝ち鞍ナシで、現在54連敗中(JRAのみ)。一時の勢いはなく、スランプに陥っている。いったいどうしたのか。
理由のひとつは、制裁点が多いこと。昨年は15回の制裁を受けて、制裁点は26点だ。これは騎手制裁ランキングの19位で、反省する必要はあるが、勝つために大胆な騎乗は欠かせない。リスクを避ければ結果が出せなくなるのも事実。事実、彼女はそのようなギリギリの騎乗もしてきたからこそ、デビュー1年目に51勝(JRA)を挙げて新人王になれたのだ。専門紙トラックマンが語る。
「制裁を受けるにつれ、持ち味だった思い切りのいい騎乗が見られなくなりました。以前は馬と馬の間にスペースができると躊躇することなく突っ込んでいったのですが、最近は見ることが全くと言っていいほどない。後ろから外めを通ってくることが多いですね。スタートが決まらず、ポジションが悪くなることも目立つ。これでは勝てなくなるのも当然でしょう」
騎乗馬にも見離されている。桜花賞で騎乗する予定だったリバーラは脚部不安で出走回避したし、自身が騎乗し、新馬戦で大差勝ちしたヤマニンウルスも、武豊に乗り替わることになった。
ちなみに、ヤマニンウルスとのコンビで挙げた勝利は、彼女にとってG1レースに騎乗可能となる中央・地方合わせて31勝目のメモリアルV。しかも、ダート重賞を勝てる馬だと楽しみにしていたのだ。それだけに、乗り替わりを聞いた時はショックだったようだ。
現在、今村を取り巻く流れはよくない。しかしどんな騎手にも、スランプはあるものだ。幸い、騎乗依頼が減っているわけではないので、このままズルズルと負け続けていくことはないだろう。
所属する寺島良厩舎はリーディング18位と、好調だ。好調時の勝負勘さえ取り戻せば、元気な頃の姿が見られるはずだ。
(兜志郎/競馬ライター)