昨年9月と12月に、スペインの人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が、中国が世界各国に展開している秘密警察の拠点リストを公開し、世界中が関心を示した。日本もその例外ではなく、東京・秋葉原に置かれていると指摘している。
昨年の公表を受けて、YouTube上では秋葉原の5階建ての建物が何度も登場している。4階までがホテルで6部屋あり、最上階にあるのが中国・福建省福州市の一般社団法人の事務所になっている。
アメリカでは、ニューヨークで警察拠点を運営していたとして、4月17日に中国系の男2人が司法当局に逮捕された。2人はアメリカ国籍を持っているが、ニューヨークのチャイナタウンで中国の公安省の「秘密警察署」運営に協力し、証拠を隠滅した疑いが持たれている。
世界各国にある中国の警察拠点では「コロナ禍で中国に帰ることができない人々の免許更新業務を手助けしているだけで、法律違反ではない」との主張があるが、各国政府の許可を貰っていないため、主権侵害の恐れがある。「犯罪者たちを中国に帰国させるように説得して成功している」と答えた警察拠点もあるが、これは完全に主権侵害にあたるだろう。
中国国営中央テレビによると、公安省は21年4月から昨年7月、詐欺に関わった23万人を説得して国外から帰国させたとされる。先の人権NGOは、ほとんどのケースが犯罪人引き渡し条約などの正式な司法手続きに基づいていないと指摘している。
中国から日本に帰化している50代女性が憤る。
「昨年のNGOの発表以降、とても怖いと感じています。免許更新なんて完全な言い訳であって、日本で暮らす反中国の人権活動家をマークしているんでしょう。もしくは帰化した者たちもマークしているのだと思っています。日本で暮らしている日本国籍の私たちが、なぜビクビクしなければならないのか。日本政府にはなんらかの法律違反行為を見つけて、撤退命令を出してほしい。そうしなければ、我々は知らない間に行動をチェックされ続けることになり、中国本土の兄弟や親戚も不当な扱いを受ける可能性があります」
この女性に「秋葉原の建物に一緒に行ってくれないか」と頼んでみたところ、
「とんでもない。監視カメラに撮られて中国の公安にマークされるから、絶対に嫌です」
強い口調で断られてしまった。
「中国がやっていることは、世界各国を相手にした、非常識すぎる振る舞いです。監視気球の打ち上げも、同じように世界から非難されました。それが理解できない中国政府は、いつもの言い訳や詭弁でこの状況を逃げ切ろうとしています」(国際ジャーナリスト)
こんなことを許すべきではないと、世論は盛り上がるべきだろう。