新装なったスタンド、そして改修された馬場。初めて尽くしの京都競馬場で行われる天皇賞・春は、どんなドラマが生まれるのか。芝3200メートルの長丁場だけに、想像しづらいところはあるが、これまでどおり、スタミナの有無が勝ち負けの絶対条件だろう。
その“盾争奪戦”は、今年はこれまでとは少しばかり趣を異にする。前哨戦の日経賞を圧勝して健在ぶりを誇示した昨年の覇者タイトルホルダーに、エントリーした各馬がどう挑むかが焦点だが、昨年と違って顔ぶれが実に多彩。それだけに、タイトルホルダーが下馬評どおり、昨年と同じパフォーマンスを演じられるかどうかは微妙である。
タイトルホルダーは充実著しい5歳馬であるが、他のGI同様、この時期は4歳馬と5歳馬の力は、ほぼ互角になる。そのせめぎあいはとにかく見もので、予断を許さない。
しかも天皇賞・春は、よく荒れることで知られる。ここ2年は比較的順当に収まっているが、03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は8回(馬連では7回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬は7勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回あるものの、どちらかというと波乱含みの一戦だ。
年齢的には過去20年で4歳馬が9勝(2着5回)、5歳馬は8勝(2着7回)、6歳以上の馬が3勝(2着8回)と、特に近年は4歳馬の台頭が目覚ましく、当方が期待したいのもその4歳馬、マテンロウレオだ。
前走の大阪杯の際にも当欄で推奨したが、ジャックドールにまんまと逃げ切られてしまった。それでも期待どおりの走りをみせ、4着とはいえ勝ち馬とはコンマ4秒差。であれば、巻き返しを期待していいのではないか。
しかも大阪杯の時は、その前走(京都記念2着)から斤量が2キロ増。初めて58キロを背負っての競馬で、一戦ごとに着実に力をつけていることは確かだ。
昨年のダービーで13着に敗れたあと、左前脚の骨折の憂き目に。しかし半年休んだあと、復帰戦となったアンドロメダSを快勝。それ以降は【2】【5】【2】【4】着と、強敵相手にいずれも差のない見せ場たっぷりの競馬をみせている。ならば、いよいよもって、GIに手が届いていいはずだ。
1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。「落ち着き払って、雰囲気が実にいい。とにかく順調です」と厩舎スタッフが口をそろえるほど。
父がハーツクライで母の父がブライアンズタイム。距離は前走から大きく延びるが、血統からスタミナの不安はまったくない。しかもBCディスタフなどGI11勝の女傑レディーズシークレットを曾祖母に持つ良血。頂点に立ってよく、大きく狙ってみたい。
NHKマイルCは、かなりの混戦模様だが、ノッキングポイントに期待だ。
前走の毎日杯(阪神芝1800メートル)では2着に敗れたが、今回は実績のあるマイル戦。持ち味の強烈な末脚を生かすには格好の舞台である。
この中間も順調で、稽古の動きは相変わらず軽快。暖かくなって馬体が締まってきたのもいい。
母のチェッキーノはGIIフローラSを勝ってオークスで2着した馬。シンコウラブリイ(マイルCS)のほか近親、一族に活躍馬が多くいる良血。勝ち負けになっていい。