昭和のオヤジ世代なら誰でも知っている少年漫画「いなかっぺ大将」。「巨人の星」と並ぶその大ヒット漫画で、主人公の「風大左衛門(かぜだいざえもん)」の名脇役を担っていたのが、大左衛門と同級生の少女「豚丸木トン子(とんまるきとんこ)」である。
原作の段階ではあまり注目されなかった豚丸木トン子だったが、その後にテレビアニメ化されるや、その丸々と太った容姿と独特のキャラで、表舞台に躍り出たのだ。
豚丸木トン子は大左衛門に恋をして付きまとうが、大左衛門は下宿先の美少女「キクちゃん」こと、痩身の大柿キク子が大好き。トン子の姿を見るや、脱兎のごとく逃げ出して腰のフンドシまで脱ぎ捨てる、という爆笑シーンが人気を博した。
実は今、キム・ジュエこと「金正恩の愛娘」の丸々と太った姿を報道映像で目の当たりにした昭和のオヤジ世代から「北の独裁者の愛娘は豚丸木トン子にソックリ」「オマエは豚丸木トン子か!」という鋭いツッコミが続出しているのだ。
いや、似ているのは姿だけではない。最近の愛娘はミサイルの打ち上げにも同行するなど、金正恩の「名脇役」としても大活躍している。
もちろんこの一件は、昭和オヤジ世代の「笑い話」で済まされる問題ではない。北朝鮮の国内情勢に詳しいジャーナリストも、次のように指摘するのだ。
「圧倒的多数の北朝鮮人民は、飢えに苦しみ続けています。あまりのひもじさから、食べられない野草の根をかじって、毒死した子供もたくさんいるほど。そんな悲惨な状況下で、はち切れんばかりに肥え太った愛娘の姿を見せつけられた人民は、口には出せないものの、怒り狂っている。21世紀のこの世界に、こんな不条理があっていいのでしょうか」
北朝鮮に生まれなくてよかった──。そう思って胸を撫で下ろしているオヤジ世代は少なくないのである。