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掛布雅之 終盤を迎えたペナントレースの行方は?(1)

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 ペナントレースも終盤を迎え、セ・リーグの優勝争いは巨人、阪神、広島の上位3強に完全にしぼられました。その上位直接対決で、メンタル面がプレーに大きく左右することをあらためて実感させられる試合がありました。広島のエース・前田が8月22日の阪神戦(マツダ)で見せた139球の熱投です。

 8月20日未明、広島市北部で豪雨を伴う土砂災害が起こりました。甚大な被害をもたらす中、22日は広島が被災後に初めて迎えた本拠地での試合でした。カープの選手はユニホームの左袖に喪章を付けてプレー。両チームの応援団もトランペットなど鳴り物を使用した応援を自粛する中で、マエケンが存在感を見せつけたのです。

 球威、コントロールともに申し分なく、今季初の完封勝利で10勝目をマーク。お立ち台では、自身のブログに寄せられた「今はカープが勝つのが唯一の楽しみです」のファンの言葉に奮い立ったと明かしました。

 マウンドの姿は1週間前とはまったくの別人でした。前回登板の8月15日の巨人戦(マツダ)では強い雨が降る中、いらだちを態度で表すなど集中力を欠く投球で3回6失点でKOされました。当コラムでもエースらしからぬ投球と厳しく指摘しました。本人も強く反省しての登板で「これぞエース」を披露したのです。

 スポーツの世界に「心・技・体」という言葉があるように、「心」は野球にとっても非常に大事です。ボールとバットの当たる位置が数ミリ違うだけで、ホームランかファウルになるかの世界です。投手なら指先でかけるスピンの何回転か、打者なら最後の一押しで延ばす数十センチの飛距離、守備ならグラブの先でかろうじて引っ掛けるような球際の強さ。「気」が強く入ることで結果が大きく違ってくるのです。

 ならば、常に「気」を強く入れてプレーすればいいと思うでしょうが、それでは長いペナントレースは絶対にもちません。手を抜いてプレーするわけではありませんが、心も体と同じようにスタミナがあるのです。また、「気」は強くしたり弱くしたりと簡単にコントロールできません。一生懸命にプレーしても、どうしても「気」が入りにくい時もあるのです。ところが、今回の前田の投球のように、極限状態で火事場のバカ力が湧いてくることがあります。チームのモチベーションというのも、優勝争いの大事な要素です。

 過去にも本拠地が大きな災害に見舞われたチームが復興の象徴となったことがありました。1995年の阪神・淡路大震災。オリックスはユニホームの袖口に「がんばろうKOBE」と縫いつけ、リーグ優勝を果たすと、翌年には日本一に輝きました。仰木監督の下でイチロー、田口ら選手が団結して勝ち進む姿は神戸の街に勇気を与えました。

 そして、今でも強烈に心に残るのが2011年の楽天・嶋の「見せましょう。野球の底力を」のスピーチです。同年3月11日の東日本大震災。楽天の選手会長の嶋が胸に響く言葉を発し、ナインを奮い立たせました。昨季の日本一は、楽天の選手たちが3年かけて果たした「使命」だったのではないでしょうか。

 1991年以来の優勝を目指すカープは、これから市民と気持ちを1つにして戦うことでしょう。そして前田の白星は、希望が膨らむ1勝にもなりました。後半戦で本来の力を発揮できていなかった「切り札」が、勝負どころの9月を前に復活したのです。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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