【ご報告】こちらの連載をまとめ、単行本化した「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」の印税がめでたくわたくしの口座に振り込まれました。
で、出版される少し前、殿の「よく考えたら俺のことをあれこれ書いてんだから、俺にも印税持ってこい!」といった、冗談半分、本気半分な発言を少なくとも7回は耳にしていたわたくしは、〈確かに、プライベートでの殿の大変恥ずかしい発言なんかを書き殴ったのだから、そりゃー印税の半分くらいはお渡ししないとバチがあたるわな〉と、大変立派で、弟子の鏡のような決断を下し、先日、意気揚々と〈たけし金言集印税代、及び、次回北野映画、パンティー泥棒役出演希望ワイロ代として〉といったメモを添えて、殿にお渡しさせて頂きました。
そこで今回は、少々お下品ではありますが、殿とお金にまつわる思い出について書かせてください。
まず、殿はよく付き人に財布をお預けになります。どこへ行っても近くにいる付き人に、「おい、ちょっとこれ頼むよ」といった言葉を添えて、尋常でない分厚さのお財布を渡してくるのです。
あれはもう10年以上も前、殿の完全なるプライベート旅行に、付き人として同行したことがありました。その旅行、当初は2泊したのち東京へ帰る予定だったのですが、諸々ありまして、急遽もう1泊することになり、正直、あまり立派とは言えないホテルへと移動したのです。で、夜、外でおいしいお食事を頂き、軽く飲み、後は寝るだけとなって、深夜11時過ぎ、殿を部屋まで送り、殿の財布を預かったまま自分の部屋へ戻ったわたくしは〈さて、Hなビデオでも見るか〉と、部屋に備えつけてあった、小銭を入れて、決まった時間だけHな映像が見られるタイプのテレビに、早々と100円玉を放り込み、準備万端でベッドに横になったその瞬間、部屋の呼び鈴が鳴ったのです。恐る恐るドアを開けると、
「おい、ちょっと悪いけどよ、寝れねーからHなビデオ見るからよ。いくらか小銭くれねーか」
と懇願する、わたくしとまったく同じことを考えていた、殿が立っていたのです。で、慌てて財布の中にあるありったけの小銭を殿にお渡しすると、
「こんなにいらねーよ。これじゃ逆に興奮して寝れねーだろ」
と、明らかに照れから出たツッコミをこちらに浴びせた殿は、100円玉を7枚程受け取ると、向かいのご自分の部屋へと足早に消えて行かれたのでした。あの夜、殿は一体どんなジャンルのHビデオを見たのでしょうか‥‥。
そんなことはさておき、“殿の財布”といえば、とにかく忘れられないどデカイ思い出があります。