阪神タイガースは、5月24日に行われたヤクルト戦(神宮)で鮮やかな逆転勝ちを決め、4連勝となった。
「この試合、先発投手の西勇輝がピリッとしませんでした。3回裏、一死三塁から相手投手の吉村貢司郎に犠牲フライで先制されると、味方が逆転してくれた直後の4回裏には、二死から1塁ランナーをボークで2塁に進め、塩見泰隆に同点タイムリーを浴びました。6回、味方が2点を勝ち越してくれた直後に、またも塩見にタイムリーを浴びて4-3と1点差に。西は6回3失点で、なんとかクオリティースタートは達成したものの、らしくないピッチングでしたね」(スポーツ紙デスク)
7回からリリーフ登板した西純矢も連続四球でピンチを作ると、代わった岩貞祐太が村上宗隆に同点タイムリーを食らう。一死一、三塁から塩見の内野ゴロはゲッツー崩れとなり、ヤクルトにとうとう勝ち越しを許してしまうのだった。
「それでも『今日は負けだな』という空気は、ベンチにもファンにもなかったですね。ここのところ、阪神打線は活発ですから」(前出・スポーツ紙デスク)
そんな最後まで諦めない姿勢が「奇跡」を生んだのか。9回表、阪神は簡単に二死を奪われ、ノイジーの打球も平凡なライトへの小フライと思われたが…。
ライトの並木秀尊は照明が目に入ったのか打球を逸らし、ボールが右翼フェンスまで転々とする中、ノイジーは3塁へ到達。大山悠輔が四球を選んだ後、佐藤輝明の鋭い打球が1塁線を破り、大山も1塁から激走して逆転のホームを踏む。9回裏は岩崎優が3人で締めて、鮮やかな逆転勝利を決めたのだった。
「まさに『野球はツーアウトから』でしたね。阪神は6回にもツーアウトから3連打で2点を奪うなど、打線に粘りが出ています。この日は先発全員安打でしたが、今の阪神には不調の打者が見当たらず、相手投手陣はそうとう大変だと思いますよ」(前出・スポーツ紙デスク)
「プロ野球ニュース」(フジテレビONE)に出演した野球解説者の高木豊氏は、佐藤のバッティングを次のように絶賛した。
「打ち損じがなくなってきた。ちょっと前だったらファウルにしてたと思うんですけど、キッチリ捉えるように。こういう場面で打ってくれると、監督としては頼もしい」
阪神は投手陣の頑張りで勝つ試合だけでなく、投手陣がピリッとしなくても、打線の粘りで勝利をものにするようになってきた。
この試合で、今季最多の貯金13に。2位DeNAとのゲーム差も、最大の3と開いた。5月30日から始まる交流戦でも快進撃が続けば、一段と「アレ」に近づくことだろう。
(石見剣)