関東は3歳馬によるユニコーンSが東京のメインとして行われる。
ここを勝ってダート界のスターホースとして飛躍する馬もいるが、意外に出世していく馬は多くなく、ここだけの完結した重賞ととらえる向きがある。
05年の覇者カネヒキリのような大物が出現するかは微妙だが、いずれにせよ、伸び盛りで成長株とみられる馬が多く、注目すべき重賞であることは確かだ。
マイルが舞台の別定戦だけに紛れが少なく、比較的順当に収まっている。03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単での万馬券は5回(馬連は2回)。この間、1番人気馬は9勝(2着3回)、2番人気馬は3勝(2着6回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回あり、明らかに本命サイドの重賞と言ってよさそうだ。
出走頭数が少ないこともあるが、過去20年で牝馬は1勝(2着2回)のみ。1週前の時点で牝馬の出走はなさそうで、牡馬中心のレースととらえていいだろう。
人気の一角だとは思うが、期待を寄せたいのは、ブライアンセンスだ。
前走、1勝クラスの平場(東京ダ1600メートル)を勝ち上がったが、その勝ちっぷりが鮮やかだった。
好スタートから好位の5番手につけて追走。勝負どころの3角過ぎでハジかれたり挟まれるなどの不利を被りながら、直線に入ると先に抜け出した2着馬ブレイゼストをあっさりと差し切っての快勝劇だった。まだ粗削りなところもあるが、かなり高い能力の持ち主とみてよさそうだ。
レース後、手綱を取った横山武騎手も「砂をかぶって嫌がるところを見せ、まだ若さが残り、課題は多い。それでいて、あっさりとこの勝ち方。力は確かで今後が楽しみ」と称賛していたほどで、大いに注目すべき馬だろう。
ひ弱さが抜け切れずデビューは今年の3月半ば。それでいて【3】【1】【2】【1】着(敗れた2戦はアタマ差、ハナ差の惜敗)の成績をあげており、穴党としても断じて軽くみるわけにはいかない。
しかも血統がいい。4代母タイムチャーターは、英オークスやキングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどGI4勝の女傑だけに、ここは期待しないわけにはいかない。
一方、阪神のマーメイドSは、牝馬によるGIIIのハンデ戦。ユニコーンSとは正反対で、過去20年間、馬単による万馬券が12回(馬連は6回)もあり、よく荒れることで知られる。この間、1、2番人気馬によるワンツー決着はわずか1回のみ。今年も順当に収まらないとみるべきだろう。
ここは穴党の出番である。最も期待を寄せてみたいのは、ヒヅルジョウだ。
まだ3勝クラスの身で、前走のシドニートロフィー(3勝クラス)は7着と凡走。なので評価は低い。しかしハンデは恐らく51~52キロ。この軽量をもって身上の先行力を生かせるようなら、アッと言わすシーンがあっていいはずだ。
前走は3カ月ぶりの実戦で、前々走と比べて16キロ増の体重で出走。明らかに重め残りの状態で、息が持たなかったまで。しかし使われたことで、この中間の稽古の動きがグンとよくなっている。1週前の追い切りも軽快でリズミカル。大幅な良化ぶりを見せていると言っていいだろう。
抑えても競馬はできるが、3勝すべてが逃げ切り。とにかく粘り強くてスタミナも豊富だ。この梅雨時の走りっぷりから道悪でも不安はなさそうで“一発”十分とニラんでいる。