ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、ウクライナにある美術品が破壊されたり盗難されることを懸念し、フランスのルーブル美術館が16点に及ぶ美術品を受け入れている。
ルーブル美術館のデカール館長によれば、受け入れたのは6~7世紀のイコン(聖像画)4点と、13世紀後半から14世紀に描かれたイコン1点など、世界的に重要な価値がある絵画。一部はパリで展示されるというが、それ以外は戦況が落ち着くまでの間、ルーブル美術館の保管庫で厳重に管理され、貴重な所蔵品として扱われるという。
ウクライナの絵画といえば、オカルトファンにとって有名なのが「雨の中の女」だろう。この絵画は1996年に、今回の戦争で激戦が繰り広げられたウクライナ南部オデーサ州在住の女流画家スヴェトラーナ・テレツ氏が描いたものだ。西洋画に詳しいジャーナリストが解説する。
「彼女は地元のハイスクールを卒業後、美大に入学したのちに絵画を学び始めました。学生にして数々の美術展で入賞するなど、すぐに頭角を現し、卒業後にはそのまま、抽象的表現を得意とする画家としてデビューしたとされています」
そんな彼女が、画家デビューしてからほどなくして描き上げた作品が、雨が滴る黒い奇妙な帽子に、細長い顔と薄く見開いた目が特徴的な、この「雨の中の女」だった。ウクライナ中西部の街ヴィニツァのアートサロンで展示されるとたちまち評判となり、すぐに買い手がついたという。
「購入したのは一人暮らしのビジネスウーマンだったそうですが、寝室に飾った日から不眠に悩まされるように。気味が悪くなって、アートサロンに返品したのです」(前出・ジャーナリスト)
次に購入した男性も、この絵画をリビングに飾ると「毎晩、女が姿を現さず影のようにあとをつけてくるようになった」として返品。3番目に購入した男性もひどい頭痛に襲われ、うつ病を発症。結局、「雨の中の女」は、作者であるスヴェトラーナ氏の元に戻ってきてしまう。
「雨の中の女」はその後、何度か販売されたが、購入者の身の回りにことごとく不可解な出来事が起こることで返品が相次ぎ、2000年代には地元メディアで「呪いの絵画」として取り上げられた。
壊滅的被害を受けたオデーサだが、そこに「雨の中の女」は残されているか否か。この不思議な絵画の消息は明らかになっていない。
(ジョン・ドゥ)