党勢が低迷している立憲民主党が、毒舌で知られる前兵庫県明石市長の泉房穂氏を次期衆院選に担ぎ出そうとしている。
立憲の泉健太代表は、次期衆院選で150議席を獲得しなければ代表を辞任すると明言しているが、日本維新の会に押されており、150議席の獲得は困難と予想されている。そこで同じ泉でも「明石の暴言王」を切り札にしようとしているのだ。
泉氏擁立は朝日新聞系の「AERA dot.」が報じたように、リベラル勢力の泉氏に対する期待をうかがわせる。それもそのはずで、泉氏は2011年の明石市長選に無所属で出馬し、自民党などの支援を受けた候補を、わずか69票差の大接戦で破って当選した。
2019年には職員に対する暴言が報じられ、その責任を取って辞職したものの、5000通の署名を集めて市長選に再出馬、圧勝する人気を誇る。
ただ、またしても議会との対立や暴言が報じられたこともあり、2022年10月には任期満了とともに市長引退を発表した。
引退後も泉氏を特集したドキュメンタリー番組が制作されるなど、テレビ番組への出演は相次いでいる。人気低迷の立憲が、そんな泉人気を見過ごすはずがない。もともと泉氏は石井紘基衆院議員の秘書などを経て民主党公認で兵庫2区から出馬し、比例復活で国会議員になった経緯がある。立憲とは親和性があるのだ。立憲関係者が言う。
「立憲はその泉氏を、明石市を含む兵庫9区から出馬させようとしているのです。兵庫9区は西村康稔経産相が現職で、日本維新の会は元国土交通省職員・加古貴一郎氏の擁立を発表している。ここに泉氏が立候補すれば、全国有数の激戦区となるのは必至。立憲に対する注目度は俄然、高まるでしょう」
ただ、泉氏に対してはその強烈すぎる個性から、立憲内で警戒感が出ている。一時は近畿ブロック比例代表1位で処遇する案が出たことに対し、近畿選出の議員らからは反発が出た。これは近畿ブロック選出の徳永久志衆院議員が離党する要因にもなっている。立憲は徳永氏を除籍処分としたが、維新から出馬するのではないかと取り沙汰されている。窮地の立憲が「明石の暴言王」を取り込むのは大変な作業のようだ。