アベノミクスによる金融緩和策の影響で、投資環境は一見好転しているように思える。2年前は8000円台にあった日経平均も、今年の9月25日には1万6374円になり、倍以上になっているからだ。しかし、好調に思えた株式市場も10月に入り大幅下落が続き、10月17日には1万4529円まで下落した。たった3週間で1847円の暴落である。
「2014年の10月はとくに注意が必要だ」と昨年から警鐘を鳴らしてきた投資評論家の大岩川源太(おおいわがわ げんた)氏に聞く。「10月はそもそも外資系ヘッジファンドが投資ポジションを縮小し始める月。今年はアベノミクスの真価が問われているため、その進捗(しんちょく)状況によっては、ポジションの縮小を加速させる大幅な下落が予想されました」。
東証の発表によると、海外投資家は10月の1、2週で5310億円も売り越している。欧州の経済動向や地政学リスク、エボラ問題などが直接の下落要因と言えるが、そもそもこの傾向が分かっていれば、相場市場自体が軟調になるのは当然と言えたかもしれない。
大岩川氏が続ける。「投資市場には月ごとの傾向があります。まず、その傾向を知り、参考にすることが個人投資家の人が怪我をしない第一歩だと思います」。大岩川氏は、『投資カレンダー』 http://www.toushicalendar.net/ という投資専門のカレンダーの著者でもある。
今年の『投資カレンダー』を見てみると、「ポイントの日」というものが設定されている。10月のポイントの日は2日、8日、14日、20日の4つ。その日の日経平均の終値はそれぞれ、420円安、188円安、364円安。20日は今年最大の上昇幅である579円高になった。「ポイントの日は市場の変化日と位置づけています。相場の潮目が変わることもあれば、流れを加速することもある注目すべき日です」(大岩川氏)。
今年の高値である1万6374円をつけた9月25日も「ポイントの日」であり、この日を最後に10月は下落、17日までに最大1845円の下落となった。そして、10月20日の「ポイントの日」には579円高。
「毎月20日は機関投資家の決済も多く、今回の上昇は売りポジションの投資家が買い戻した結果であるとも読めます。通常であれば、10月17日の下落が“底”であることを確認する下落が起きると思います。579円上昇したからと言って安心してはいけません」(大岩川氏)。
11月の「ポイントの日」は、7日、13日、19日、26日の4つ。これらの日に市場の潮目がどう変わるかに注目したい。