「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来したのです」
国連のグテーレス事務総長がこのような警鐘を鳴らしていたことを覚えている読者も少なくないはずだ。
7月下旬から全国各地で最高気温が35度以上の猛暑日が続き、8月が終わろうとしている今も厳しい残暑が襲っている。気象庁の3カ月予報によれば、10月までは高温の傾向が続くとされ、海水温は日本でも世界においても高く、まさに「沸騰化」状態だ。
地球温暖化による海水温上昇は、猛烈な暑さに加え台風を巨大化させる。サイエンスライターの話。
「北極の温暖化によって寒暖差が少なくなり、偏西風の蛇行が大きくなる。その流れの凹みに高気圧が居座ることで台風が停滞しやすくなる。沖縄地方などに深刻な被害を与えた台風6号の停滞も、こうした理由によるものです」
北極の異変が中緯度の日本にまで影響をもたらしているというわけだが、温暖化は日本の「季節」にも影響をもたらし始める。
「いずれ夏と冬が長くなり、秋と春の期間が短くなる『四季』ではなく『二季』の状態になると言われています。実際、最近の春は暖かくなっている。要因はユーラシア大陸の雪が早く解け温まった空気が偏西風に乗って日本に来るためで、これにより日本は早く暑くなる。そして夏は偏西風の蛇行の影響でとてつもなく暑くなり、秋の到来が遅くなって期間は短くなるとされます」(前出・サイエンスライタ―)
地球の気候システムが激変し「臨界点」を迎えるタイミングは、これまで考えられていた時期よりも早く訪れる。今年は、それを感じさせる1年になるはずだ。
(蓮見茂)