近年、プロ野球投手の「球種」が多様化している。かつて変化球といえば「カーブ」「シュート」「フォーク」が代表的だったが、最近は他にもストレート系で「ツーシーム」「ワンシーム」、スライダー系で「カットボール」「スイーパー」、フォーク系で「チェンジアップ」「スプリット」など多種多様になっている。
一方、今ではすっかり目にすることがなくなったのは「ナックルボール」だ。ナックルは可能な限りボールの回転を抑えながら投じられるため、捕手に届くまでの間に不規則に変化しながら落ちる。この球を中心に投球を組み立てる投手は「ナックルボーラー」と呼ばれていた。
日本球界でナックルボーラーとして名を馳せたのは、2007年に来日した広島のフェルナンデスだ。初登板こそ10失点と派手にKOされたが、5月には先発として初勝利。ただ30試合に登板し3勝8敗、防御率は6.04と振るわず、この年限りで退団している。スポーツライターの話。
「体重100キロ、投げる球も100キロという際立ったキャラと投球で、今でも覚えているファンは多いことでしょう。フェルナンデスは当時、なぜか阪神をカモにしており、3勝のうち2つは阪神戦。当時、4年目の岡田彰布監督率いる打線はナックルに翻弄されっぱなしでした」
現役選手ではDeNAの山崎康晃がナックルを投げられるが、捕球できる捕手がいないという理由で公式戦では披露していない。
「今年のオールスターゲームで山崎は、そのナックルを解禁。全球ナックル勝負で日ハムのマルティネスにはヒットを打たれたものの、ほか打者はまったくタイミングが合わず凡打し解説者さえ度肝を抜かれていました。昨今はイマイチ状態が上がらない山崎だけに、ここは思い切って阪神戦あたりで投じてもらいたいものです」(前出・スポーツライター)
広島にも現在、ナックルボールを操る坂田怜投手がいる。まだ育成選手の身だが、正式に登録されれば久しぶりに本格的なナックルボーラーが誕生することになるだろう。
(ケン高田)