人気バスケ漫画「スラムダンク」の三井寿にちなんで、バスケットボールW杯公式Xが名付けた、日本代表の「諦めの悪い男」比江島慎が8月31日のベネズエラ戦で「奇跡の逆転劇」を呼び込んだ。
15点差を追う第4クオーター、残り8分12秒から比江島が3点シュートを立て続けに決める。残り1分55秒、1点差に迫ると馬場雄大のスティールからのレイアップを決め、直後のフリースローも成功して、逆転に成功。
さらに残り47秒に、この日6本目の3点シュートでダメ押し。終わってみれば、代表最年長がチーム最多の23得点をマークしたのだった。
東京五輪では3連敗で予選敗退と、いいところがなかった日本代表だが、このW杯ではすでに2勝を挙げている日本が9月2日のカーボベルデ戦に勝利してアジア1位になれば、来年開催のパリ五輪出場がすんなりと決まる。自力での五輪出場となれば、48年ぶりの快挙だ。
京都の洛南高校で高校バスケの頂点を競うウィンターカップ3連覇、青山学院大進学後から日本代表に選ばれてきた比江島だが、世界の壁には阻まれ続けた。同年代の日本代表はすでに引退。男子代表監督が、東京五輪で女子バスケを銀メダルに導いたトム・ホーバスに代わり、比江島もホーバス監督の指導を受けてみたいと言いながら、この2年間、言行は一致していなかった。
親善試合などで「得意のステップを生かした3点シュートを第一に考えて」と再三、ホーバス監督に言われているものの、そのプレースタイルは日本の実業団チームにはないとして頑なに自分流を曲げなかったことを、熱心やバスケファンやバスケットボール専門誌に指摘されていた。
それでも自分の指導方針に合わない、めんどくさいベテランを日本代表に選び続けた、ホーバス監督。国際試合で1勝もできていないのに、日本の弱小プレースタイルにこだわり続けたのかどうかは、比江島本人にしかわからないが、今回のW杯前のインタビューでは、比江島が自らの殻を破り「3Pシュートを決める」と、ホーバス流の戦法で勝つと話していた。
体力と体格で圧倒的に不利なアジア選手が3点シュートで稼いでいく戦法は、東京五輪の女子バスケ銀メダルで結果を出している。負けられない次の試合、ホーバス監督の神采配が決まるか。