あの9月7日の記者会見はなんだったのか。
ジャニーズ事務所が取締役会を開き、社名変更の方針を固めた。同社公式サイトには、東山紀之社長による〈社名変更、所属タレント及び社員の将来など、今後の会社運営に関わる大きな方向性について論議を行い、向かうべき方針を確認した〉とする発表があったが、ジャニーズ事務所の名前を変えるということは「関ジャニ∞」や「ジャニーズWEST」のユニット名も変わることになる。
スポンサーが降りるまで性加害者の名前を名乗り続けることに違和感を抱かなかった東山社長が発した、「人類史上最も愚かな事件」という会見の懺悔が実に白々しく思えてくる。
それはテレビ局も同じだろう。なにしろ秋ドラマは渦中のジャニーズ事務所タレントと漫画原作のドラマばかりなのだ。主なジャニーズタレント出演ドラマを挙げてみる。
▽「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~」二宮和也(嵐)フジテレビ系・月曜21時
▽「君が死ぬまであと100日」髙橋優斗(HiHi Jets)、井上瑞稀(HiHi Jets)日本テレビ系・月曜23時59分
▽「家政婦のミタゾノ」松岡昌宏(TOKIO)、伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)テレビ朝日系・火曜21時
▽「マイ・セカンド・アオハル」道枝駿佑(なにわ男子)TBS系・火曜22時
▽「マイホームヒーロー」高橋恭平(なにわ男子)TBS系・火曜24時59分
▽「コタツがない家」作間龍斗(HiHi Jets)日本テレビ系・水曜22時
▽「単身花日」重岡大毅(ジャニーズWEST)、田中樹(SixTONES)テレビ朝日系・土曜23時
▽「今日からヒットマン」相葉雅紀(嵐)テレビ朝日系・金曜23時15分
▽「ゼイチョー~『払えない』にはワケがある~」菊池風磨(Sexy Zone)日本テレビ系・土曜22時
よしながふみの人気コミックが原作のドラマ続編、西島秀俊と内野聖陽主演の「きのう何食べた? Season2」(テレビ東京系・金曜24時12分)と「大奥 医療編」(NHK・火曜22時)も放映予定だが、地上波のジャニーズ依存は否めず。これでは最終回の世帯平均視聴率が19.6%の「VIVANT」をはじめ「ハヤブサ消防団」「シッコウ!!~犬と私と執行官~」など、ドラマの主演級名優、バイプレイヤーが出揃って盛り上がった夏ドラマのロスが埋まらない。
「年末のボーナスにも影響が出かねない」
と危機感を強めるのは、テレビ局スタッフだ。
「この3年、新型コロナの影響もあり、地上波の広告収入が落ちているのは、地上波テレビ局と制作会社が抱える大問題になっています。フジ、テレ朝、テレ東は2023年4月から6月期の連結決算で最終減益となり、日テレとTBSも投資株の売却益等が出たにすぎません。そこにきて今秋クール、ジャニーズ事務所の性加害問題でスポンサーを降りた企業のCMは、ジャニーズ出演ドラマでは流せない。全てはジャニー喜多川氏の性加害問題を英BBCが報じた後も棚上げし、なおもジャニーズに依存し続けた局上層部のミスです」
今は地上波が面白くなければBSやCS、ネット配信で夏ドラマを再視聴することもできる。この秋、視聴者とスポンサーの地上波離れがどこまで進むのか。