三冠レースの最終関門、菊花賞が今週のメイン。3年ぶりに京都に戻っての大一番。新装なった古巣で、どんなスタミナを競う一戦が展開されるのか興味は尽きない。
今年はフルゲート(18頭)に満たないものの、新たな淀の競馬場を祝うかのように、顔ぶれが豪華だ。
最有力候補は皐月賞を勝ち、ダービー2着惜敗のソールオリエンスか。秋初戦となったセントライト記念では2着に敗れたが、4カ月ぶりの実戦だったことを思えば上々の内容だった。菊花賞馬となったキタサンブラック産駒で、母系もスタミナ豊富な血筋。使われての変わり身は大いに期待してよさそうにみえる。
さらに、神戸新聞杯を目の覚めるような差し脚で制し、有力候補に躍り出たサトノグランツは、やはり菊花賞馬サトノダイヤモンドの子。距離延長は望むところで、これまたどんな競馬をみせるのか目が離せない。
むろん、ダービー馬タスティエーラも争覇圏。そのダービー以来となるが、スタミナに不安がない血統馬である。
この〝3強〟がデンと構えているだけではなく、スキあらば‥‥の伏兵陣も多彩で、いずれの馬が菊の大輪を咲かせても不思議はない。スタミナ豊かな顔ぶれによる一戦で、馬券的にもかなりおもしろいGⅠ戦と言っていいだろう。
まずは過去のデータを見てみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は7回(馬連は4回)。この間、1番人気馬は7勝(2着1回)、2番人気馬は1勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみだ。
前哨戦の神戸新聞杯が2400メートルに延びた07年以降は、馬単万馬券が3回と少なくなってはいるが、人気馬が順当に上位を占めることは少ない。波乱含みの一戦だけに、前記した人気馬3頭の上位独占という結果は、期待しないほうがいいのかもしれない。
いずれにしても簡単ではないことは確かで、むろん穴党としては、人気馬3頭を本命視するわけにはいかない。最も狙ってみたいのは、ファントムシーフだ。
前走の神戸新聞杯は逃げの手に出て、厳しい流れを作りながら僅差3着。ダービー(8着)依頼、4ヵ月ぶりの実戦だったことがを思うと、評価できる好内容だった。
しかも、久々で体重が12キロ増。陣営は「成長分」と見ており、それは納得できるものの、少し体に余裕があったことも確か。というわけで、今回は上がり目を十分見込んでいい。
実際、この中間は稽古で軽快な動きを披露。張りがある好馬体で雰囲気が実によかった。
厩舎スタッフも「反動はなく、この中間は思惑どおりにいい感じできている。このぶんなら楽しみです」と口をそろえており、大いに期待していいだろう。「折り合いに不安はない」(西村調教師)ばかりか、血統(母系)がまたいい。
祖母は愛GⅠプリティポリーSの勝ち馬で、5代母が英GⅠチヴァリーパークSの覇者。欧州の一流血脈の出であることが実に魅力だ。さらに父は長丁場を得意としたハービンジャー。大きく狙ってみたい。
一発があるとすれば、ナイトインロンドンだ。
神戸新聞杯は11着に敗れたが、関西までの長距離輸送にもかかわらず体重は6キロ増。少し体に余裕があり、折り合いを欠く場面も見られた。しかしこの中間は大幅に良化している。
父グレーターロンドンはマイラーのイメージが強いが、母の父は菊花賞、天皇賞・春を制したメジロマックイーン。4代母も天皇賞・春を勝った女傑クリヒデ。スタミナはドンとこいのクチだけに要注意だ。