全国にパチンコホールを展開するガイアが10月30日、民事再生法の適用を申請し、保全・監督命令を受けたことが分かった。今年4月に登場した「スマスロ北斗の拳」がブームを巻き起こしたことでパチンコ業界にも明るい話題が増えたが、一方でパチンコホールの倒産が相次いでおり、実はそれにもスマスロが関係しているという。
「ガイアは1984年9月に千葉で設立したパチンコホール経営業者で、『GAIA』や『メガガイア』『サイバーパチンコ』などの店舗を展開し、2006年5月期には5853億500万円の売上高を計上していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で臨時営業をした影響もあって23年5月期は売上高が1895億4291万円にまで減少。65億7538万円の赤字を計上していたのです。その後、店舗の売却などで収益改善に努めましたが、自主債権を断念して民事再生法の適用を申請したといいます」(経済ジャーナリスト)
東京商工リサーチによると、今年の1-9月のパチンコホールの倒産は25件で、過去10年で2番目の多さとなっている。そもそもパチンコ・パチスロの遊技人口は右肩下がりで、08年の1434万人から22年には837万人にまで減少している。要因としては、出玉規制の強化やスマホの登場などによる娯楽の多様化、利用者のマナーなどイメージの悪化などが挙げられている。
「そんな中、パチンコ業界が起死回生の一手と期待するのがメダルを使用しないスマスロです。実際、『スマスロ北斗の拳』が大人気となったことでかつての名機の復活も予定されており、業界がにわかに盛り上がりつつあります。ただ、むしろスマスロがパチンコホールの倒産の引き金にもなっているのです。というのも、スマスロを1台導入するための初期費用は約100万円と言われ、10台設置するためにはおよそ1000万円が必要となる。そのため中小ホールがスマスロを導入するのは難しく、設置できないホールはさらに客離れが進行してしまう。スマスロの影響もあって、今後パチンコ業界はさらに縮小に向かっていくのかもしれません」(パチンコライター)
パチンコ業界全体を考えれば、スマスロのヒットも焼け石なのかもしれない。
(小林洋三)