子供の頃、東京・上野動物園の園内を走るモノレールに乗ったことがあるという人は少なくないはず。東園と西園を結ぶモノレールは正式名称を「上野懸垂線」といい、ジャイアントパンダの「カンカン」と「ランラン」がやってくるはるか前の1957年に開業。常設のものとしては日本初のモノレールであり、距離わすが300メートルの日本一短いモノレール路線でもある。
そんな思い出のモノレールだが、4年前の2019年11月1日で休止になったことをご存知だろうか。
「上野動物園モノレールは上野動物園のアトラクションと思われがちですが、実際は都営地下鉄や都バスを運行している東京都交通局が運営していました。しかし、車両の老朽化を理由に運行を休止。まだ事態を知らない人も多いようで、東園駅の前で唖然としている客を今でもよく見かけます」(鉄道ライター)
現在はモノレールの代わりに東園と西園を連絡する小型の電気バスが運行されているが、新たなモノレールの計画もあり、車両を吊り下げる現在の懸垂式から、レールの上に車両がまたがっている跨座式への変更も検討されているという。
しかし、休止したモノレールは土台が残されており、車両を新造して復活させてほしいという声もある。残念ながらそれは絶望的だという。
「モノレールの下には、ジャイアントパンダの新たな飼育舎である『パンダのもり』が20年にオープンしている。パンダは非常に繊細な動物なので、その上を運行することはできないそうです。事実、新たなモノレールは『パンダのもり』を避けるルートが検討されています」
乗ることはできないが、駅はそのまま残され車両も東園駅に留置されているので、思い出をさがしに訪れてみるのもよさそうだ。
(海野久泰)