今年も「プロ野球12球団合同トライアウト」が千葉・鎌ケ谷スタジアムで実施されたが、関係者の間ではちょっとした「異変」が起きていた。
「今年辞める選手は恵まれてますね。なにせ『働き口』が増えるわけですから」
こう言って笑うのは、さる球団の関係者だ。会場にはホストの日本ハム・稲葉篤紀GM(来季より2軍監督)を筆頭に、全12球団の編成担当、独立リーグ、社会人野球チームのスカウトが押し寄せた。
「来年から静岡、新潟にNPBの2軍扱いの新チームが発足します。新潟はBCリーグのチームが基本になりますが、焦っているのはイチから選手集めをする静岡。とにかくレベルは中途半端でもいいので、数合わせで獲得する必要がある。まるで2005年に発足した楽天イーグルスの初期のような感じです。特に投手は何人いても困らないので、採用の可能性が高まっている。実際に入団が有力視されている選手には、1軍経験がない者も含まれていますからね」(球界関係者)
静岡の球団「ハヤテ223」は、静岡県清水市出身の山下大輔氏がGMとなり、静岡高校出身の赤堀元之監督(元近鉄)を抜擢した。
「地元色を前面に出して自治体を納得させ、スポンサー獲得につなげたいのですが、球場内の室内練習場はアマチュアが使えるレベル。合宿所もなく、新入団選手は愕然とするでしょうね」(地元関係者)
それでも底辺の裾野を広げるのだから、生みの苦しみはある程度、仕方がないと割り切るしかないだろう。